2017.08/30 技術開発の方法(7)
(28日の続き)セラミックスを担当して8年近く過ぎていた。高純度SiCの企画は当方の提案でスタートしていたが、企画が採用され先行投資として2億4千万円いただいてから5年が過ぎていた。このような状況で社内ではセラミックスの担当として知られていたのに、ゴム開発になぜ駆り出されたのか不思議だった。
他の管理職に聞いた話だが、1年の予定で企画された新入社員テーマ「先端材料の樹脂補強ゴム」を3ケ月で仕上げた実績が話題に上った、と知らされた。短期間に成果が出たが報告書も要領よくまとめられていたので評価されたそうだ。
10年も前の話であり、にわかに信じがたいので、当方を電気粘性流体のテーマに専念させたい誉め言葉だと思った。そこで、あれは指導社員が優秀な人で、研究開発をオブジェクト指向により進める要領の良い方法を指導してくださったからだ、と謙遜したら、研究開発のオブジェクト指向とはどのような意味か、と質問された。
オブジェクト指向という言葉が突然出てきたのは、当時C++の勉強に取り組んでいたためで指導社員とは無関係だった。しかし、意図していなかった質問をしてきた管理職に対して、当時の業務内容をオブジェクト指向で得意げに解説し、その解説をしながら技術開発の方法として良い方法だと内心思った。
この時の解説では指導社員から教えていただいた経験知や暗黙知をどのようにオブジェクト(ゴールを実現する振る舞いをするオブジェクト)として扱ったのか語っただけだが、それがまさしくアジャイル開発の手順だと気がついた。
樹脂補強ゴムの開発についてはすでにこの活動報告で書いたので、ここではゴールをどのようなオブジェクトとしてみなし、それを実現する振る舞いのオブジェクトをどのように取り扱ったのか説明する(続く)。
カテゴリー : 一般
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