2017.09/12 技術開発の方法(15)
フィルムのインピーダンス評価を行うのに電気の知識はあれば便利という程度である。すでに当時販売されていたインピーダンス測定装置にはフィルム用電極が用意されていただけでなく、自動計測が可能だった。GP-IBでパソコンにつないでやれば、計測データを簡単にパソコンへ取り込むことができた。
さらに、N88BASICにはGP-IBがサポートされていたので、プログラムも簡単にできた。今どきの技術者は分野に関わらず、計測制御のプログラムぐらいはすぐに作れるようにしたい。当時と比べ今はC#がUSBなどをファイルとしてサポートしているので切った、はったでプログラムができてしまう。
ところでフィルムのインピーダンスを計測してどうしたか。ここでも頭など使わない。他の計測データとインピーダンスの測定値をコンピュータに放り込んで多変量解析しただけである。測定器から吐き出された訳の分からないデータでも訳の分かっているデータとの相関がみえると、そこから理解が進む。
データの整理ができて、パーコレーションの評価ができるようになったところで、CTOからインピーダンス評価法について質問が飛んできた。科学を重視している会社ではこうなる。頭を使っていないから質問にすぐ答えることなどできない。
すぐに電気化学に詳しい先生のところへ相談に行った。そしたら、客員教授を依頼された。客員教授になって学生を指導しながら質問の答えについて研究してみたらと言われた。これは運がよかったと思っている。研究成果はカナダで開催された国際写真学会で報告した。このように科学の研究は大学で行えば早く結論を出せる。
科学よりも技術が先行した場合には、アカデミアでもすぐに回答を出せない。このとき、現象をブラックボックスとして扱っているのが問題だというのは科学の視点である。ブラックボックスの中を見える化する必要があるならば、産学連携で研究を行えばよい。
カテゴリー : 一般
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