2017.09/13 技術による解法2(9月8日の続き)
電気粘性流体の増粘問題の解決法を検討するときに多数の界面活性剤を集めていた。また、その材料のカタログも入手していた。そこでカタログ数値をマトリックスで整理して、多変量解析にかけた。
昨今のビッグデータの扱いと同様の方法である。すなわち、各特性値の関係について科学的な考察を行うのではなく、ブラックボックスとして扱い、統計的なつながりをよりどころにして各データ間の関係について考察を行うのである。
このようなデータの取り扱い方法により、データを考察するときに先入観が入るのを防ぎ、純粋にデータのつながりと変化の関係について情報を取り出すことが可能になる(科学の仮説も、先入観の一つともいえる)。
ビッグデータがもてはやされているのは、このようなデータの扱いで、人間が思いも及ばなかった相関を発見できる可能性があり、その相関関係を考察することにより新たな真実を生み出すことができるからだ。
ただこの時注意しなくてはいけないのは、ビッグデータの集団が変化すれば、過去に見いだされた真実が容易にひっくり返る可能性がある、ということだ。科学の世界で見いだされた絶対的な真実は科学で議論している限りその確実性は保証されている。これは科学で技術開発を行うときに便利な科学という哲学の特徴である。
界面活性剤のカタログデータを主成分分析したところ、第一主成分にはHLB値が現れた。これは界面活性剤の定義から当然の結果だったが、それでも15%ほど他の特性値の寄与が第一主成分に含まれてきた。
そこで第二主成分を見たところ、HLB値が10%ほど寄与していたが、2種ほどの組み合わせで70%以上の寄与をする特性値が見つかった。そこで第一主成分と第二主成分でサンプルデータをプロットしたところ、この平面に8つほどの群を作りデータが分布した。
驚くべきことに、同一HLB値でも第二主成分の意味づけを考慮すると界面活性効果が異なる可能性のある群も存在している。さらに、増粘した電気粘性流体の問題解決に寄与しそうな界面活性剤は、そのようなある群に集まっていた。
カテゴリー : 一般
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