2013.02/25 弊社の問題解決法について<39>
マッハは著書の中で、動力学の基礎の議論を近代的な科学の萌芽と位置付けていますが、それが登場したのは17世紀前後と思われます。17世紀初めにガリレイは、「なにゆえに(why)」の問いをすて「いかに(how)」を問い、落下運動の問題を解いています。ガリレイ以前にもガリレイの認識に近い議論がなされていたそうですが、一様に加速される落下運動の定義に成功し、その成果が記録として残っているのはガリレイが初めて、とマッハ力学史に書かれています。
マッハの解説によれば、落下運動の問題は1世紀以上議論されてきたようで、ガリレイは現象に対する問いかけをwhyからhowと変えることにより科学の時代の扉を開けた、と言えます。このガリレイが行った発想の転換による問題解決法は、例えば連関図や系統図の作成などに利用できますから現代でも使える「考える技術」といえます。
マッハは、ガリレイの業績に対して、現在よく知られている知識や概念、さらに正確な時計すら無かった時代に科学的成果を出した点について評価しています。しかし、ガリレイの思考過程は科学的ではなく過去の時代と同様の本能的経験によるものである、と厳しく批判しています。
このマッハの批判は、科学的成果を得るための思考過程について、科学的であるという制約を設ける必要が無く、観察を主体にした本能的経験的な思考過程でもよいことを示しています。極論すれば、「風が吹けば桶屋がもうかる」式でも観察結果がそうであれば、問題を解き科学的成果を上げることができます。この観察結果を中心にした議論を大胆に展開した人物がニュートンで、17世紀にニュートン力学を完成しましたが、やはりその思考過程についてはガリレイ同様に非科学的である、とマッハに批判されています。
<明日に続く>
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