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2018.01/28 ドラッカーの遺言(8)

働き方改革では、意識改革を行うために形から入るような進め方がなされている。ワークライフバランスというキーワードもその一つだ。しかし、バランスの重要性を押し付けているのに、その方向性を個人に任せている。

 

驚いたのは、残業0で仕事仲間と一杯飲みに行く世界をTVが映し出していたことだ。なぜ、家族団らんの家庭の風景をPRしないのか。核家族から家庭が崩壊してしばらくたつが、改めて家庭やご近所の再構築も悪くない。家族一緒に食事をすることで家庭が生まれる。

 

高度経済成長期からバブル崩壊までの時代に過重労働をものともせず働き過ぎて幸せのまま亡くなった人が少なからずいる。企業戦士なる活字が新聞や週刊誌にあふれていた。お葬式の受付には、ご親戚やご近所以外に戦友が堂々と並ぶようになった。

 

家長としての父親像が次第に薄れていき、葬儀委員長に戦友のリーダーが立つお葬式も目立つようになった。最近は親戚や家族だけ、あるいは密葬形式が多いが、かつてのにぎやかなお葬式も悪くない。伊丹監督の映画「お葬式」は、お葬式に笑顔も見られたそんな時代の様子を描いている。

 

この時代を美化するつもりはないが、ドラッカーの著書を読んでいる知識労働者が多かったのも特徴で、彼の新著が何冊もこの時代にはベストセラーに輝いていた。モーレツ社員が時代を表すキーワードの一方でモータリゼーションを牽引した遊び人の若者たちが話題になっている。

 

「どうにも止まらない」という歌もヒットしており、仕事や遊びに忙しかった疲れを知らない時代であり、過労死はさほど話題にならなかった。この時代の評価では、給与が右肩上がりで昇進ポストも増えていったから皆頑張ることができた時代、だといわれている。

 

高度経済成長からバブル崩壊に至る時代を当方は若者として幸福感を享受した年代だが、平日一生懸命働き休日は一生懸命遊んでいた記憶がある。遊び仲間最後の独身男性の結婚式の司会をしてわが身の生活環境が変わることに気がつき、さらに高純度SiCのプロジェクトも一人で担当していた寂しさから、当方は友人の式場で結婚式の予約を入れている。

 

アンバランスではあったが意識的に仕事以外の世界を作ることを心がけてきたのは、ドラッカーの「二つ以上の世界を持て」(注)という教えを守ったからだ。ドラッカーは、政治家に多い仕事だけの人生を否定している。

 

仕事と家庭は、とりあえず普通に努力すれば手に入れられる二つの世界だ。仕事と趣味の二つの世界でも、あるいは趣味がないならボランティアとかも考えられるが、家族との仕事を抜きにした交流の世界の大切なことをもう少しPRしたほうが良いように思う。

 

家族や親戚、そしてご近所との交流には仕事と異なる世界が存在するが、核家族化からおひとりさまのキーワードが示すようにはやらなくなった。ネットのつながりも一つの世界だが、独身の増加を止めないで不倫を増やしている。

 

(注)ドラッカーは、トータルライフのデザインが重要と言っている。ワークもライフのひとつであり、ワークの世界以外に複数の世界を持つことの重要性を指摘している。ワークとライフという二元的な見方ではない。この視点で、当方はワークライフバランスという言葉は知識労働者の生き方の指針として誤解を招く、あるいは不適切かもしれないと思っている。ワークはライフの一つの世界であり、家庭や友人の作る世界もワークと同様にライフでは重要である。ワークをライフから切り離すのではなく、ライフにワーク以外の世界を増やしていく、という考え方がドラッカーのトータルライフという考え方だ。

カテゴリー : 一般

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