2018.03/24 セルロースナノファイバー
昨晩高分子同友会の勉強会でセルロースナノファイバーの講演を拝聴した。面白い内容だったが、聴講者が少なかった。せっかくの機会をもったいない、と感じた。実はセルロースナノファイバーは、今3度目のブームである。だから過去のブームを知っている人にはつまらないテーマに見えてしまう。
しかし、今回は少なくとも20年ほど前の菌セルロースのブームとは一味も二味も異なる。小生も理解しているつもりでいたが昨晩の講演を伺い、少し認識を変えた。目から鱗というわけではなく、過去のブームと大きく違うところである。どこが過去のブームと異なるか、大切な点は商売のネタになるのでここでは書かない。興味のある方は問い合わせてほしい。
昨日の講師の方は若かったので過去のブームを御存じなかった。まずそこから紹介する。実はファインセラミックスブームの時にナノセルロースのささやかなブームがあった。1990年代に入り、ティラミスのブームが去ったら若い女性たちがこぞって健康食としてナタデココを食べて火がついた、という流れである。
ナタデココと寒天の違いが判らない人は田舎者扱いされたぐらいである。ようやく味と名前を覚えたティラミスをデートで話題に出したら、今はナタデココと言われた。ナタデココになじんだら、菌セルロースのブームとなった。第一のブームから第二のナノセルロースへのつながりはスムーズで、様々な工業用品への応用が検討された。この時主に複合材料としての研究開発が行われている。
オンキョーのスピーカーはこの時の成果で、現在もその技術は使われている。当方も味の素からナノセルロースを提供していただき、ゼラチンとの複合材料を研究した。残念ながらコストの問題があり実用化には至らなかったが、ゼラチンの高靭性化と高弾性率化に成功している。
今は第3のブームでこれは本物である。2010年ごろ日本化学会から依頼され、「教育と化学」にセルロースの簡単な総説を書いたが、その最後に現在のブームを予告している。それが当たった。ナノセルロースの新展開が始まる。
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