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2018.04/07 ドラッカーの遺言(12)

今週のデジタルニュースには、元NHK有働由美子氏の退職の話題が多かった。NHKから公開された彼女の退職理由には、彼女の知識労働者としての自己実現欲求が組織で満たされなくなり、組織を離れるに至った気持ちと組織に育てられた感謝の気持ちが述べられていた。

 

恐らく彼女の実力であれば、NHKに残り貢献し続けることが可能であったに違いないが、それでは働くもう一つの意味の自己実現ができないので退職するに至った、という典型的な知識労働者の在り方である。

 

この彼女の事例から、NHKのような組織でも、知識労働者の働く意味を満たせないことを意味している。今働き方改革が議論されているが、賃金とか労働時間の問題に関心が向いており、本来の働く意味からの取り組みがなされていない。

 

故ドラッカーは、経営者のみならず労働組合までも社会の組織として、産業社会に働く者を社会の市民として組み入れる努力をしなければいけない、と述べている。

 

すなわち、労働組合は賃金闘争がその目的ではなく、社会の組織として、労働者の働く意味を実現できるように取り組まなければいけない、と言っているのだ。

 

団塊の世代の大量退職では、そのスキルの伝承が問題となったが、その問題にどのように取り組まれ解決されたのか、あまり聞かない。昨年企業の製品品質に関わる不祥事が相次いだが、これはスキルの伝承がうまくいかなかった表れではないか。

 

当方も窓際の経験があるが、どうも日本企業の多くの経営者は高齢者の処遇がうまくない。おそらく窓際になることを考えていない方たちばかりが出世しているからかもしれない。

 

当方はゴム会社で窓際の悲哀を多く見てきて来たので、窓際を楽しくできてこそ優秀な経営者、という考え方を持っていたが、その実践ができないままサラリーマンを終えた。

 

50を過ぎて昨日まで組織に十分貢献してきた労働者を突然ラインから外し、方針管理上の何の業務目標も与えないで特命業務とするのは、退職せよと言っているのと同じで、スキルを持った高齢者の扱いについて下手なマネジメントである。

 

早期退職を決意し単身赴任して取り組んだ業務では、30年近く前ゴム会社で指導社員からナゾ掛けのように教えられたカオス混合を実現できた。窓際を経由せずこの業務を担当していたならもう少し仕事のやり方も変わっていた。

 

 

カテゴリー : 一般

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