活動報告

新着記事

カテゴリー

キーワード検索

2018.05/08 努力不要論は間違っている

脳科学者中野信子著、努力不要論 脳科学が解く!「がんばってるのに報われない」と思ったら読む本」というのがある。また、WEBで中野信子氏は、この本の目的を「これは無駄な努力をしている人が多いので、正しい努力をしてほしいと思って書いた本です。」と述べている。

 

そして、「人間の大きな目的が生存である以上、今生きている人の人生は、いいことも悪いことも含めてみんなボーナスみたいなものなんです。それならば、苦しい思いをして出世しようとか、お金儲けをしようとか考えずに好きなように人生を楽しんだほうがいいのです。」とも語っている。

 

サラリーマン時代に「がんばってるのに報われない」と時々嘆いたときもあった。しかし、この年になって人生を振り返ると、無駄な努力も人生の糧になっている、と思えてくる。

 

例えば、ゴム会社で事業立ち上げに努力した高純度SiCの仕事では、何もゴム会社からは報われず、転職している。ものすごい無駄な努力の典型である。さらには、以前この欄にも書いているが、この仕事も含めゴム会社では、本来残業代を申請できてもそれすら申請せず、徹夜の業務をしたりしていた。

 

これらが金銭的に生理的にも極めて大きな無駄であったことは、他人に言われなくても十分に理解している。しかし、この大きな無駄から学んだことは多い。特にどんなに苦労していても、その苦労を必ず見ている人がゴム会社にいた、ということだ。

 

無心に努力しその努力を心から称賛してくれる人に出会ったときは、人を信じる力、あるいは社会を信じる力が得られる機会でもある。この体験は、困難な仕事に遭遇した時に、再度頑張って努力しようというエネルギーになる。

 

そもそも働く意味は、中野信子氏が指摘しているような出世のためではなく、故ドラッカーが指摘した「貢献」である。そのための努力に無駄は無いのである。

 

生きるために大自然と闘わなければいけない時代ではないが、新たな価値を生産し続けなければ持続的な成長ができない産業社会とは大変な時代で、無駄な努力と思われても常に新たな時代を夢見てチャレンジする若者の姿勢が社会から求められている。

 

好きなように人生を楽しむことを当方は否定しない。しかし、無駄な努力と思われるような次の時代を切り開くチャレンジする若者を輩出できる社会が理想と思っている。そこには無駄な努力でチャレンジしてもそれを糧に人生を楽しめる風土があるはずだ。

カテゴリー : 一般

pagetop