2018.06/07 品質データ改竄その後
「大手鉄鋼メーカー 神戸製鋼所が製品の検査データの改ざんを繰り返していた問題で、東京地検特捜部と警視庁は、不正競争防止法違反の疑いで神戸製鋼の東京の本社などを捜索し、強制捜査に乗り出しました。
会社側の調査で改ざんされた製品の出荷先は600社以上に上っていて、特捜部と警視庁は組織的に不正が繰り返されていたと見て実態の解明を進めることにしています。」
昨日のTVニュースでもこのWEBニュースの記事を報じていた。東レ、日産、三菱自動車、スバル、三菱マテリアルとデータ改竄はじめ品質管理に関する不正があいついだ。
スバルでは最初に発覚してから半年以上が経過しても不正が見つかったのでCEOが辞任する事態に至っている。最初に不正問題が報じられたときに、この欄では科学の問題(形式知の問題)を指摘している。
すなわち、科学的に考えて品質規格からこれだけ外れても大丈夫、という判断で不正が行われている、と推定したが、案の定神戸製鋼所では代々の不正データの蓄積が受け継がれていた。
恐らくこれは技術継承のつもりでなされた可能性がある。川下企業とすり合わせて設定した品質規格に対して、川上企業で自分たちの品質規格を作り上げようとしていたのだ。
なぜ川上企業でこのような行動をとるのかは、コストダウンが目的であるが、それ以外の事情もある。これについては後日触れるが、この行動が形式知と経験知を混同していることは明確である。
形式知と経験知は区別して技術開発に適用されなければいけないが、最近はこのあたりが日本でうまく伝承されていない。
両者を混同して運用していった結果、法に触れるような事態に至った、というのが昨今の品質データ改ざんの実態と捉えている。
すなわちこれはSTAP細胞の騒動と問題が似ている。STAP細胞の騒動では未熟な科学者が問題となったが、品質データの不正では未熟な技術者集団により問題が起きている。
これは技術の伝承や技術者育成がバブル崩壊後軽視されてきたからではないかと推測している。また、団塊の世代の大量退職とも関係している可能性を否定できない。
当方はこのような現状を憂い弊社を起業しているが、なかなか事業が立ち上がらず苦戦しており、最近は外部のセミナー会社のお世話になっている。
今月は15日に混練技術に関するセミナーを都内で予定しているが、品質問題の対策として10月にはゴム・樹脂の信頼性についてのセミナーを企画している。
また、上海では今月末に材料をデザインに生かす講演会が企画された。台湾ではシリコーンポリマーに関するセミナーが行われるがご興味のある方はお問い合わせください。
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