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2018.07/06 有機合成化学(3)

すでに無機材質研究所へ留学が決まっていた時に、趣味で有機合成について勉強していた。学生の頃は試験勉強など大変だったが、試験とか仕事とかにとらわれず優れた研究者の書いた専門書を読むと面白い。

 

すなわちその書を読むことで、研究者の思想に触れることができるからだ。学生時代はクラム・ハモンドが書いた英語の教科書が授業で使われ、それを使って予習するのが大変だった記憶がある。

 

教科書の内容は有機電子論に基づく有機合成化学の体系であり、当時は最先端の名著で、4、5年後にはその日本語版が発売されている。またこの本を模した日本の研究者による著書も発売されている。この日本の研究者による著書は、当時日本語版が無かったので重宝したが、中身の薄さを十分感じることができる内容だった。

 

有機合成反応がただまとめられていただけであり、有機合成反応の体系というよりは情報集という本だった。この本を購入し、前期のテストを受験してから気がついたのだが、英文を読みながらノートを作れば出来上がるような本だった。

 

学生時代は研究者の思想を意識してゆとりのある読み方などできなかったが、およそ業務とも無関係で、趣味でもなく、単なる読み物として読んでみると難解な本でも面白く読める。

 

亡父が古典を読んでいたのもおそらく同じような気分だろう。本の中に新しい発見があるとさらに読み続けたくなる。これは文学書の楽しみ方とも似ているのかもしれない。

 

わずかながらの知識で理解できる範囲で気楽に専門外の本を読むのは、うまくはまると十分な楽しみの手段になる。コンピューターのプログラミング技法の本についても同様で、学生時代にカーニハンとリッチーの書いた論文にはまったのである。

 

この論文はたまたま複写機のところに複写ミスとして落ちており、興味を持ったので図書館に行き全文読んでプログラミングの勉強を始めた。授業として情報科学を聞いたときにはプログラミングに興味などわかなかったが、ユービックスの横に落ちていたジャムった論文は、それを全部読みたくなる意欲を掻き立てる内容だった。

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