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2018.08/16 オーディオという趣味

1960年代にオーディオという趣味が誕生したように記憶している。高校生の時にクラスメートがベルリオーズの鎮魂歌というLPとともに名鉄電車に飛び込んだ。思春期の出来事であり、大変ショックだった。

 

フェノール樹脂とポリエチルシリケートとのポリマーアロイを前駆体に用いた高純度SiCの事業を住友金属工業とJVとして立ち上げていた時にFDを壊された精神的ショックも大きかったが、この事業が現在もゴム会社で継続されていることを聞き少しは癒される。

 

しかし、思春期における身近な友人の自殺という精神的ショックは、成人してから受けるそれと少し異なる傷跡を残す。なぜLPとともに死への旅たちを選んだのか、およそ音楽には興味のなかった当方だが、この出来事でオーディオの趣味の世界に入り込んだ。

 

入り込んだ、と言っても、オーディオを趣味としているような人たちと異なり、音楽を聴くときの手段としてのオーディオであり、音楽を聴くことに力点がある。当時ソニーのトランジスターラジオIC11という商品がハイファイ再生に力を入れた製品として、値段も手ごろで若者に人気だった。

 

クラスメートの死がきっかけとなりこのラジオを買うことになり、家にあったレコードプレーヤーへこのラジオをスピーカー代わりにつないで鎮魂歌を聞いてみた。レコードプレーヤーのスピーカーよりも明瞭な音にびっくりしたが、いわゆる大きな感動は無かった。

 

栄町にあったオーディオのショールームにレコードを持ち込みかけてもらったところ、鳥肌が立った感動を今も忘れていない。クラスメートは恐らくこの音を聞いていたに違いない、と当時思った。再生装置の違いで同じレコードでも感動が異なったのだ。

カテゴリー : 一般

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