2018.08/17 オーディオ再生装置
オーディオ再生装置は1970年代から急速の進歩を遂げたように思う。1960年代のショールームで聞いた30万円程度の再生装置は、今ならば3万円前後で手に入る。貨幣価値を考えるとこの分野における技術の進歩のすさまじさを理解できる。
大学生の時にアルバイトをして貯めたお金を50万円ほど使い、当時としては十分に満足できるオーディオ環境を手に入れた。たまたま勉強部屋を改築し、二階建にするというので、自分の部屋をオーディオルームとしてデザインすることができた。
天井を斜めに設計した部屋は定在波の発生が無く、街のショールームより快適に音楽を楽しむことができた。スピーカーはパイオニア製で30cmウーファーの搭載された3ウェイ構成で、ツイーターはマルチセルホーンツイーターという高級構成だったので、音の広がり感や再生帯域は十分であり、現在購入可能な30万円前後のオーディオ再生装置と比較しても遜色の無い環境だった。
当時購入したレコードプレーヤーはDENONのDDプレーヤーで、なんとこのプレーヤーは現在も快適に動作する(注)。40年近く安定に動作しているのは驚異的である。ただしカートリッジは5年前買い替えたオウトテクニカ製がついている。
当時の環境が標準となり、アンプやらテープレコーダーなど周辺装置を買い替えながら現在に至るが、スピーカーについてオーディオ誌に書かれている評価はいい加減だと思っている。
確かにB&Wのスピーカーを安価な価格帯から100万円を超える価格帯まで聞き比べると価格の違いを味わうことができる。しかしだからと言って100万円を越えるスピーカーを欲しいとは思わない。それらしく聞こえる100万円のスピーカーが必ずしも自分の好みの音ではないからである。
これまでの経験から100万円をこえるスピーカーを用いた再生装置が自分にとって完璧とは思えないのだ。日常聞いている音に近い音を奏でてくれる再生装置が最良である。
それは昔、同じレコードでも再生装置の違いで感動が異なることにびっくりして、大枚はたいて購入したオーディオ装置の音だった。
耳はその時以上に進化していない。むしろ悪くなる一方だが、青春の思い出は耳の奥に残っている。この年齢で音楽を聴くには自分の好きな音が一番良い。
(注)ちなみにソニー製電子チューナーも、一度故障したかに見えたが、今でも動作している。レコードプレーヤーとチューナーは当時の製品を使い続けているが、いつまで使えるのか楽しみである。スピーカーは20年ほど前まで使用していたが、ガリがでたり、ウーファーの痛みが激しくなったので買い替えた。アンプは4代目である。CDプレーヤーは3代目、テープデッキは5代目であり、テープデッキが最も壊れやすい機械だった。いずれもヘッドがすり減ってダメになった。今デジタルでHDから音楽を聴けるので摩耗する部分も無くいつまでもよい音だが、たまにレコードを聴くとデジタルで失われた部分があるように感じる。しかしデジタルの便利さを味わうと毎日アナログを聴く気にはなれない。クリックするだけでジャズが流れてくる環境には40年の技術の進歩を感じる。
カテゴリー : 一般
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