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2018.10/18 高分子の運動(3)

高分子量のポリオレフィン樹脂の一分子が、室温で空気中に浮いていることは無く、樹脂として何かの形になっている。例えばポリエチレン袋やアペルやゼオネックスの様なポリオレフィン樹脂レンズである。

 

ここで面白いのはポリエチレンは結晶性樹脂として知られているが、アペルやゼオネックスは非晶性樹脂と言われている。後者は嘘である。15年以上前にゼオネックスやアペルを結晶化させた経験があるからだ。

 

すなわちアペルやゼオネックスは結晶性樹脂である。これらは、側鎖基に嵩高い分子構造の基をくっつけて結晶化しにくくしているだけである。それがわかると結晶化させることが可能となる。

 

カタログには結晶性樹脂と本当は記載すべきであるが、射出成形では結晶化しにくいので問題になっていない。呼び名は問題になっていないが、この樹脂が非晶性樹脂と信じていると、レンズの射出成型で問題が起きたときに原因がわからなくなる。

 

さて、レンズ用ポリオレフィン樹脂では、全体が非晶質となっていることを信じ、高分子鎖1本がどのようになっているのか夢想してみよう。

 

高分子の非晶質体はすべてTgを有するのでガラスである。面白いのは無機ガラスと異なり、全体を細かく区切って部分部分の密度を比較すると、大変大きな密度差が観察される。

 

この時最も低密度の部分は自由体積と呼ばれ、その部分には、ガラス状態でも分子運動が行われている。すなわち、成形体全体はガラス化され運動が凍結されているが、自由体積と呼ばれるところでは、高分子の一部がそこに存在すると運動できる空間があるおかげで、分子運動が可能となる。

カテゴリー : 高分子

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