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2018.10/19 高分子の運動(4)

光学用ポリオレフィン樹脂を射出成型すると、非晶質の成形体が得られる。無機ガラスならば全体は密度が均一なガラス状態である。

 

ところが高分子のガラスでは、自由体積と呼ばれる、分子運動が可能な空間が存在する。

 

すなわち、高分子のガラス相には、分子運動が凍結されている構造部分と、室温でもぴくぴくあるいはぶんぶんと、分子の一部が動ける自由体積部分との二つが存在する。

 

20世紀に高分子結晶に関する科学が著しく進歩し(注)、球晶の中にも非晶質部分の存在することが分かってきた。無機の結晶子に相当するのはラメラであるが、このラメラの生成の様子もわかってきた。

 

すなわち、光学用ポリオレフィン樹脂に限らず高分子の構造では、室温ですべての運動が凍結されているのではなく、自由体積部分のように分子運動が活発に行われている部分が存在する。

 

 

(注)当方が学生の頃、新規高分子合成が研究の花形であったが、高分子結晶に関する研究は盛んにになりつつあった。ゆえに授業では、シシカバブが出てきても球晶の詳細については講師から説明が無かった。また講師がシシカバブの名前の由来を御存じなかった時代でもある。ゆえに社会人になって学会に出かけその進歩の様子を見ていてアカデミアの活躍に圧倒された。もっとも企業ではおいそれと研究発表の許可が出なかっただけかもしれない。

カテゴリー : 高分子

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