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2019.02/11 結晶

結晶という言葉は、日常でも使われる大変ポピュラーな物質の状態あるいは相を意味する単語である。この言葉の学術定義は意外にも1992年に国際結晶学連合により行われている。

 

それによると、「本質的に離散的な回折を与える固体」となっており、之より以前の結晶の概念が広く拡張されている。また、この定義で高分子結晶も十分に結晶と呼んでもよい時代になった。

 

そもそも結晶とは鉱物学で生まれた言葉、と学生時代に無機材料科学の授業で習った。鉱物をたたき割るとへき開面で割れる。この規則正しさから鉱物を分類する方法として結晶という言葉が生まれているそうだ。

 

すなわち、もともとマクロの状態で定義されたような言葉である。長い間学術用語としては定義されず使われてきたのだが、1992年にかなり広い領域の物質まで含んだ言葉として定義された。

 

この定義前には、ナノ結晶という造語も生まれている。ただ、学生時代に無機結晶のX線回折実験を行ったとき、すべての方位の回折が現れていなければ結晶と呼んではいけない、と指導された。ナノ結晶は主に高分子材料研究者が使用していた。

 

無機材料の結晶化速度論については1980年代にほぼその体系が出来上がった。当方の学位論文では、その体系をまとめ上げているが、面白いのは、高分子結晶はすべてアブラミ式で議論される点である。

 

ラメラができるところまではそれでも良いかもしれないが、ラメラから球晶へ成長するところまでアブラミ式で整理している研究に出会うと質問の一つでもしたくなる。

カテゴリー : 一般

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