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2019.02/25 昨日の「いだてん」

ストックホルムまでの旅費1800円を四三の兄が田畑を売って用立ててくれた。そのいきさつも粋である。

 

一方、彼の同級生たちは後援会を組織し、募金を行い1500円を集金した。アマチュアスポーツゆえに国が派遣費用を払わなかったために生まれた小噺である。

 

昨日の噺から、四三がマラソンで十分な実力を発揮できず初回に紹介されたような結果であっても、彼が人生をスポーツに捧げた健全な精神が育まれた背景を理解できた。

 

人は、皆、多くの人に支えられて生きているのである。その意味を正しく考えてゆくと人生でうまくゆかないときにどのようにふるまわなければいけないのか、正しく判断できる。

 

決して自死では報いることはできないのだ。なぜか円谷選手のことを思い出し、涙が出てきた。昨日の「いだてん」は笑う場面が多かったのだが。

 

人生、苦しいことの方が多い。腹が立つほどの元気があれば生き抜くことができるが、絶望感に苛まれたときにどうするか。解決策として、それを一人で抱え込まないことである。

 

多くの人に支えられた体験があるとうまく抜け出す道が見えてくる。あるいは誰か支えてほしい、と願うと不思議にも誰か現れるものである(注)。それは60年以上の人生体験から若い人たちに自信を持って言える。

 

これは社会に甘えろ、という意味ではない。人が支えあって生きているのが人間社会であり、支えてくれる人を期待するのは、そこに身をゆだねたに過ぎないのだ。昨日の「いだてん」はそのような人間社会をうまく描いていた。

 

(注)湾岸戦争が始まったバブルがはじける直前、FD事件で会社を辞める決心をした。しかし、セラミックス関係の企業以外に転職先が見つからない。高純度SiCの事業化を推進したキャリアだから当たり前のことだった。その時、某ヘッドハンティングの会社から研究管理業務という提示をうけた。高分子技術分野の会社と言うことで、写真会社へ転職先を決めている。50歳を過ぎ、豊川へ左遷されたときに退職を控えた無機材研副所長から涙が出る様なお手紙を頂いた。20年近く前に約束された基本特許の報奨金を小生にくださるという。その時頂いたお金で、押出技術や混練技術に関する当時の先端情報が詰まった一冊8万円以上と言う高価な書籍を多数買い勉強することができた。サラリーマン人生は必ずしも組織から報われる人ばかりではない。人が運営する組織とは人の欲望がその機能をゆがめるものである。ゆえに処遇に嘆いたり腐ったりしてはいけない。社会に対して常に前向きに進む努力をすれば、不思議なことに組織外から支えてくれる人が現れるものである。サラリーマンは社会に向かって努力することがコツである。そもそも現代の企業活動の目標はその存在が社会のためにあるとドラッカーは述べている。

カテゴリー : 一般

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