2019.03/10 昨日の「まんぷく」
朝ドラがプロジェクトXのようになってきた。このドラマ、面白いのはマンペイさんという発明家のキャラクターをうまく演出している点である。そして役者もそれをうまく演じきっている。
アインシュタインは、その脳の解析から発達障害と疑われているが、天才は常人と異なるところがある、というのが俗人の見方で、最近はその異なる理由を発達障害に求める論評があったりするから驚く。
ともかく、ドラマの中のマンペイさんは普通ではない人として描かれており、その振る舞いも奇怪なところが現れたりしている。マンペイさんが普通かそうではないかは実は問題ではない。昨日のドラマでは、フクちゃんのアドバイスによりリーダーとしての役割をうまく演じていた。
マネジメントとは、人を成して成果を出すことであるが、発明のマネジメントとなると難しい。フクちゃんはコーチングによりマンペイさんをうまくマネジメントしているが、それは夫婦関係という位置でのマネジメントだからうまく発明ができているのだ。
ところが天才肌に見られているマンペイさんが部下たちにコーチングしても所詮天才と凡才という受け取り方を部下にされてうまくゆかない。コーチング手法は、人間関係の影響を強く受ける。
そこで、マンペイさんはコーチングではなく、自分が責任をもって応援する、と寄り添う姿勢を演じていた。実はこの姿勢はコーチングではないのだ。当方は、20年前二通りのコーチングの研修を受講した経験があるが、どちらもフクちゃんタイプのコーチング手法である。
昨日見せたマンペイさんの姿勢は、過去のコーチングの研修では手法としての説明がなく、10年以上前に当方が実務体験をまとめた研究所におけるリーダーの在り方そのものである。
当方は凡人であり、アイデアを毎回苦労してひねり出していたが、テレビで演じられるマンペイさんのアイデアを捻りだす過程も血と汗のほとばしるプロセスだった。
高純度SiCの製造プロセスについては、無機材研の先生はじめ多くの方から天才的アイデアと言われたが、このアイデアを捻りだすために30年前、天井材の開発を終えてから1t近くのフェノール樹脂とポリエチルシリケートの廃棄作業を一人で行っているのだ。
天才だろうが凡才だろうがあっと驚く実用的な発明は、才能だけで生み出されるものではない。ドラッカーは、「頭のいい人ほど成果が出せない」といいことを言っている。
カテゴリー : 一般
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