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2019.04/04 トヨタの戦略

時事通信電子版4月3日記事によると、「トヨタ自動車が、ハイブリッド車(HV)の関連技術の特許を使用する権利を、他社へ無償で提供することが3日、分かった。世界で燃費規制が強まる中、無償で特許技術を競合他社に開放することで、強みを持つHVの市場拡大を狙う。」という。

 

かつて、IBMがアップルに対抗するために16ビットPCのアーキテクチャーを公開し、AXパソコンが主流となりアップルが痛手を被るという結果になっている。

 

今回トヨタがHV技術を無償公開する理由は、EVの急激な台頭にある。トヨタのシナリオは、おそらくEVが普及する前の時代にHVが普及し、やがて、HVとEVが共存する時代が来る、というものである。

 

旧来の自動車メーカーの強みは複雑な内燃機関の組み立てノウハウであり、自動車の市場をEVに席巻されたならその強みが無くなってしまう。もし、将来の自動車の主流がHVならば、強みは永遠に残る可能性がある。

 

トヨタにとって内燃機関を使用した自動車が将来存続し続けるかどうかは、トヨタの強みを維持できるかどうかという問題である。

 

IBMが16ビットPCの仕様を公開したことで、一気にPCの部品をはじめとしてマザーボードまでも値下がりし、当時40万円前後したPCが今や10万円以下である。しかし、だれでも製造できるようになった結果、IBMはPCの市場から撤退することになった。

 

今回トヨタがHVの特許を公開した結果は、IBMのようにはならないだろう。なぜなら複雑な内燃機関を製造できるメーカーは限られるからである。それよりもHVに用いられる電装品のコストダウン効果が大きくでて、トヨタ自動車はHVの特許を保有するよりも無償提供により大きな利益を上げることができる。

カテゴリー : 一般

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