2019.04/21 スピーカー
昨日スピーカーキット及びその完成品を販売している音工房Zの新作視聴会に参加した。まずお決まりのハイエンドオーディオスピーカーとこの会社のローエンドスピーカーとの比較試聴テストで始まった。
これが楽しみで参加しているのだが、昨日は音工房Zの3万円もしないスピーカーと300万円以上もするJBLハイエンドスピーカーK2S9800との聴き比べである(やや過激な企画である。結果次第では高いスピーカーなど誰も買わなくなる。)。
価格はおよそ100倍の開きがあり、これまでの比較試聴では最大の価格差だと思う。しかし、これだけの価格差があっても10問中3問間違えた。
比較試聴ではブラインドテストでどちらのスピーカーが鳴っているのかわからない状態で好きな音を選ぶアンケートだが、いつも好きな音ではなく高い方のスピーカーを選ぶ努力をしている。
驚いたのは安いスピーカーのボーカルの美しさである。JBLはオバQのような口になるのだが、安いスピーカーでは、きっちり人間の口の大きさで聞こえるのだ。
普段このような比較試聴をしないので気がつかなかったが、スピーカーの性能の一つ、音の定位感の重要性を再認識した。
楽器の数が多い演奏では、低域の効果もあり、高価なスピーカーを容易に選ぶことが可能だが、中高域主体の音源では、安価なスピーカーと高価なスピーカーの差はほとんどわからない。むしろ定位感において安価なスピーカーに軍配が上がる。
この比較試聴で毎度感じるのは、いかなる音源でも完璧に再生できるスピーカーなどこの世にない、ということだ。これは50年近く音楽を聴いてきた経験から自信を持って言えるし、各種ブラインドテストの結果を見ても数値としてそれが現れている。
弊社の事務所では、昨年評判になった音楽之友社付録マークオーディのスピーカーを音工房Z設計のキット(バーチベニヤ版)の箱に入れて使っている。その音はB&Wの30万円前後のスピーカーに十分勝っている、と感じている。
当初B&Wのスピーカーを事務所に置くつもりだったが、節約のため単身赴任中に使っていたオルトフォンのスピーカーをROTELのアンプで鳴らしていた。しかし、音工房Zの視聴会でマークオーディオスピーカーの音を聴き、事務所のオルトフォンスピーカーよりもはるかに安くて良い音に聞こえたので、すぐに購入した。
このスピーカーの箱についてはアマゾンで9000円程度でMDF製の同社のキットが販売されている。今回マークオーディオの付録スピーカーが単品販売されるということでこのMDF版のキットも昨日産地直売で購入してきた。
実はバーチベニヤ版は前回の視聴会でMDF版より良い音に聞こえたので購入したのだが、箱の材質がどの程度音に影響するのかもう少し細かく聞き比べてみたいと思い、ゴールデンウィークに組み立ててバーチベニヤとの比較をする予定でいる。
なお、このスピーカーボックスは吸音材を入れない設計になっているが、バーチベニヤ版では少し吸音材を入れたほうが音が明瞭になった。そのためMDF版よりも良い音に聞こえたのはこの響きが原因ではないかとの疑いを持つにいたった。
バーチベニヤ版は吸音材が無くても十分にきらびやかで実用的な音だが、聴きなれたクロスオーバーでは響きすぎてややうるさく感じる。
これを改善するために100円ショップのポリウレタンたわしを箱の中に貼り付けたところすっきりした音になった。ゆえにMDF版よりバーチベニヤ版が良いと感じたのは錯覚で、本当はMDF版が良かったのではないかと疑いだしたのだ。
昨日新商品である16cmスピーカーのPRが行われ、旧製品である10cmスピーカーよりもスケール感のある音で欲しくなったのだが、この疑問があったために思いとどまることができた。
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