2019.04/27 ハイブリッド車の問題(2)
ハイブリッド車には、ペダルは二つしかついていない。ゆえに踏み間違いに気がつきすぐに修正できるはずだ、という意見があるが、FMEAを正しく行うとそこに落とし穴があることに気がつく。
ガソリンエンジンのオートマチック車も含めペダルが二つしかない車について、エンジンブレーキをかけて減速するという運転動作を考慮すると、「ペダルが二つであることが問題」、という結論をハイブリッド車のFMEA表では導き出される。
信頼性工学の中でFMEAはその取り扱いが難しい。すなわち、故障や事故のモードに気がつかなければ不完全なFMEA表しかできない。そもそもFMEAというものは、作成されたFMEA表を随時改定し完成形に近づける活動を含んでいる。すなわち、FMEA表を作ったらそれで終わりではないのだ。それを元に日々技術とFMEA表を改善する努力をしてゆかなければいけない。
ところで、ガソリンエンジンのオートマチック車の場合とハイブリッド車の場合とで異なる点は、ガソリンエンジン車で踏み間違えたときには、車のスピードが上がる直前にまずエンジン音が大きくなる、あるいはタコメーターが上がるなどの変化がおき、その一瞬の間違いに気がつく(ガソリンエンジン車のオートマチックの開発ではこのタイムラグをいかにして少なくするのかが課題だった)。
さらにエンジンブレーキをいつもかけてから停止する習慣ならば、シフトダウンの操作段階で軽くブレーキペダルに足を当てている。この時間違えてアクセルに軽く足を載せていたとしたら、エンジンの回転数が早く上がるので、すぐに間違いに気がつく。
しかし、ハイブリッド車に試乗してみると、ブレーキペダルを軽く踏んだ程度では減速が緩やかで、アクセルペダルから足を離しているかどうかわからない場合がある。これは、走行時のDレンジでは燃費をよくするために慣性力で走れるよう回生ブレーキが働かないためである(試乗した時にこの点に恐怖感を感じている)。
Bレンジで運転すると、アクセルペダルから足を離したかどうかがわかる程度の回生ブレーキがかかり、少しは踏み間違いにきずくシグナルが運転者に出されるが、Dレンジでは静かにスピードが上がる、という現象が起きなければ踏み間違いに気づけない。ここでスピードが少ししか上がらない場合の人間の感覚を考える。
少しでもスピードが上がって、そこで「踏み間違いに気がつく人」と、ハイブリッド車のDモードでは慣性力でスピードが落ちないためにそれに慣れていて少しのスピードアップはブレーキの踏みシロの問題、すなわち「少しのスピードアップではそれに気がつけない人」の二種類に分かれる。
実はハイブリッド車では音が静かなために少しのスピードアップでは気がつきにくい。さらに、静粛性以外にも新型プリウスはスピードアップしたときの恐怖感が少ない。このようなデザインであるため、よけいにスピードアップに気がつきにくい車といえる。
このときペダルの踏み間違いに気がついていない場合の人間の自然の動作として、さらに深く踏み込むことになる。それもブレーキだと思っているため力強く深く踏み込み、暴走につながる。
暴走になれば、もう止まらない。なぜなら運転者はびっくりしてパニックに陥るからだ。自分が踏み間違えているかどうかよりも車を止めようと思ってさらにペダルを踏みこむだろう。この状態に至れば、山本リンダではないが、「もう、どうにも止まらない」。
実は初めてプリウスに試乗したときに、減速から停止処理を行って恐怖感を感じ、営業マンにそのことを伝えたら、お客様の運転の仕方が間違っている、と馬鹿にされた。オートマチック車ではただブレーキを踏むだけでよいのだ、としたり顔で言われたのだ。
車はエンジンブレーキで減速し、ブレーキで止まるのが基本だと説明したら、それはマニュアル車の場合であり、オートマチック車では間違った運転方法とまで言われた。
ハイブリッド車以外でもペダルが二つの車があり、それでも踏み間違いが起きている。ただし、オートマチック車でもエンジンブレーキをかける習慣であれば、踏み間違いに気づくはずだから、その場合は教習所で教えられる基本を守っていない運転方法であり、運転者の過失だ。
しかし、ネットにはプリウスロケットという言葉が多数出ているように、プリウスでは極端な暴走状態に特徴があることを見過ごしてはいけない。
そこにはプリウス特有の問題があるとみて、より安全な車を作る使命が自動車会社にはある。リーフの1ペダルという提案が、なぜトヨタ自動車から出てこなかったのか不思議である。ペダルが一つならば踏み間違いは起きない(ご丁寧にリーフにはブレーキ専用のペダルまでついている)。なぜなら、ブレーキと加速では全く異なる動作に設定されているためだ。
カテゴリー : 一般
pagetop