2019.04/28 ハイブリッド車の問題(3)
ハイブリッド車やガソリン車のオートマチック車にはペダルが二つしかついていない。しかも、その操作方法は同じである。いずれも機能を発揮させたいときには、踏み込むという同じ動作である。ゆえに、ペダルの選択を間違えた場合に暴走を引き起こす。
ブレーキの機能は、踏み込むことで車を「減速させて」、「止める」ことである。アクセルの機能は、踏み込むことで車の「スピードを上げる」ことだ。ここで昔からアクセルは、車を減速させる装置とみなされていない。あくまでも車のスピードを上げる装置である。
昔の教習所ではこの点を厳しく指導していた。減速はシフトダウンして行うことがお約束だった。教習所の第一段階のテストの一項目にシフトダウンして車を止めることができたかどうかというのがあった。
当方はクラッチを切ってブレーキだけで止まったために、教習所の第一段階の試験に落ち1回余分なお金を払うことになった。第一段階で落ちる人はいないといって笑われたので、この重要項目をいつまでも覚えており実践している。
だから、エネルギー回生システムを減速機(エンジンブレーキ)の代わりとして使おうと考案した時に、この車の減速という機能を設計者は信頼性工学の視点で検討しなければいけなかった。
ここで検討しておれば、ガソリン車のエンジンブレーキという減速機能がアクセルとブレーキの踏み間違いを防止していることに気がつく。
このエンジンブレーキは、クラッチを踏みシフトダウンさせてかけてゆく。ただアクセルを緩めるだけでエンジンブレーキがかかる、と思っている人は、たとえそれが正しくても昔ならば教習所の第一段階の検査試験で当方同様に落ちることになる。
おそらく教習員は、減速途中でエンストを起こす説明をするだろう。そして足をブレーキに乗せながらシフトダウンして減速しながら最後にブレーキを踏みこんで止める話をするかもしれない。
ここでペダルを踏み間違えていたり、アクセルに足を乗せていたりすると、空ぶかしをすることになる。すなわちマニュアル車は、その構造上ペダルの踏み間違いに対して空ぶかしという警告を出すようになっていた。
ところが最近の車は、燃費をよくするためにギア比が小さくなっており、高速で一定速度走行時のエンジン回転数は1500回転から1800回転であり、車の質量による慣性力のほうが大きくエンジンブレーキがかかりにくい。
エンジンブレーキを起動させてそれがかかった、とすぐに体感できるのは当方の場合2500回転以上の時であり、オートマチック車でもエンジンブレーキをかけるためには何とか工夫して「車のスピードを上げないように」エンジン回転数をここまで上げなければいけない。
安全のためには、これをブレーキではなく、マニュアル車以外ではオートマチックの機能を工夫して行うことになる。プレリュードでは、「D→スターマーク→L」とシフトダウンすればエンジンブレーキがかかり、減速する。ただし操作感はよかったが、CVCCエンジンはエンジンブレーキの利きが悪く怖かった。
だからプレリュードから乗り換える時は、セレナのマニュアル車をわざわざ買っている。その次は娘がそのデザインを気に入ったという理由でキューブを購入した。
しかしこの車では、標準でマニュアル車の設定が無くてオートマチック車しか選べなかったうえにシフトレバーがエンジンブレーキをかけにくい構造だった。すなわち、エンジンブレーキをかけるためには、ODボタンをはずし、その後シフトレバーを1にする操作をしなければならず、面倒だった。
さて、ハイブリッド車には、従来のようなエンジンブレーキが無い、といってもよい。その代わりにDモードとBモードというのがあり、Bモードを選ぶとアクセルを緩めたときにエネルギー回生システムが働きエンジンブレーキ「のように」減速することになる。
ところが、このBモードでは、アクセルペダルの機能について加速と減速の2種類持たせたような設計をしている。ここでハイブリッド車の設計者は、大きな間違いをしたことに気がついていない。
昔は、アクセルペダルは、車のスピードを上げるための機能に徹しており、減速と停止機能はブレーキペダルという明確な役割分担があった。
これに対しBモードの設定を考案したときに、アクセルペダルに加速と減速の二つの機能を持たせてる危険性を考えなかった。Bモードでは、あたかも減速機能と停止機能の二つのペダルができたかのように錯覚させる。(ブ(B)レーキモードと最初勘違いした。)
日産はこれに気がつき、安全のため、電気自動車のアクセルペダルに加速と減速以外に停止の機能までつけ加えて一つのペダルで加速から停止までできるようにした。これは、動力がガソリンエンジンだけでなくなる場合の、暴走を防ぐアクセルペダルの一つの回答である。
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