2019.06/03 成形技術(5)
15年ほど前、単身赴任の話が出た。二つの写真会社の統合で管理職が余り、それまで倉庫として使われていたところが居室となっていた当方に、カメラ会社の部長が声をかけてくれた。
居室の窓際には、そこに移る前に使用していた机が置かれていた。当方は居室の中央に倉庫にあった小さな机を置きそこで特命業務をしていた。
居室を訪問してきた部長は、なぜボロ机を使っているのか聞いてきたので、まだ窓際には座りたくない、と答えたら複雑な顔をしていた。
それから時々当方の居室へ訪れて、中間転写ベルトの成形について相談してきた。6年開発し半年後までに歩留まりを80%以上にしないとコストが合わない、と嘆いていた。
せっかく相談に来られても、コンパウンドに問題があるとしか答えられない、と繰り返していた。PPSと6ナイロンは一流メーカーから供給され、そこと連携して国内トップメーカーのコンパウンダーが混練しているのだから、コンパウンド技術は確かだと言っていた。
コンパウンドに問題がない、というのなら、絶対に問題解決できないので、テーマを中断したほうが良い、と言ってからしばらくして単身赴任の話が出た。
研究所長はグループリーダーとしての赴任だから、テーマ判断を間違えないように、と言われたので、中止と言う判断をすでに出している当方でよいのかと言ったら、中止でも良い、と笑顔で送り出してくれた。
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