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2013.06/15 科学と技術(タグチメソッド10(SN比と感度))

タグチメソッドでは、基本機能のSN比を最大にできる制御因子の条件で確認実験を行う。しかし、その条件で感度が必ずしも最大になるとは限らない。動特性のSN比の式に感度は入っているにもかかわらず、実験結果においてSN比最大の条件を選択して感度が高くないときにどうするのか、これはタグチメソッド初心者が悩むところである。

 

そのときタグチメソッド指導者の中には、あくまでSN比最大を選ぶ、という指導の仕方をされる方がいたが、田口先生は感度最大をあえて選ぶ技術の選択もありうる、と述べられていた。最高の機能が必要なときにはSN比最大を必ずしも選ばない、そんな技術者の選択もあると(但し常時このことを言われていたわけではない。ある議論の結果である)。

 

しかしタグチメソッドの基本はあくまで機能のロバストネスを高めることだ。感度最大を選ぶのは特殊なケースである。

 

L18実験を行い、SN比を最大にする条件と感度を最大にする条件が異なったときにどうするか。両方の条件で確認実験を行いSN比の違いを確認すると良い。L18実験では多少SN比に大きな開きがあっても、確認実験ではL18ほどの差が出ないこともある。また逆に差が開くこともあり得る。これまでの経験では、後者は無かった。

 

また確認実験を行うときにこの2条件以外に、SN比最大の条件で感度が大きくなる条件を入れた水準も確認実験すると良い。田口先生はこちらの水準を指導されていたが、感度とSN比の両者を高める条件が異なったときには、いつも3水準以上の実験を行ってきた。

 

確認実験の水準を多く取るのではタグチメソッドの意味が無いのでは、と疑問を持たれる方もいるだろう。しかし逆である。確認実験を多く行ってきた約20年の経験からタグチメソッドの有効性を実感している。

 

タグチメソッドの直交表を用いる実験では、科学的実験プロセスに慣れ親しんできた人にある種の気持ち悪さが伴うことは確かである。日科技連ベーシックコースで実験計画法の用い方を学んで現場で使用していたときに大変気持ち悪かった。しかし会社の方針ということで、周囲が使用していないにもかかわらず、半分意地で使用した時の感覚と比較すれば、タグチメソッドにおける直交表の実験は気持ち悪さの程度が異なる。これは、外側因子が入っている影響が大きいと思う。

カテゴリー : 一般

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