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2013.06/17 科学と技術(メソッドについて)

仮説を設定し、推論を展開し、問題解決を行う。科学的問題解決はこのような手順で行う、と学校で学ぶ。この手順について否定をしない。この手順があるのに、世の中にはタグチメソッドはじめ多くの問題解決手法が存在する。

 

USITやTRIZは科学的問題解決手順を忠実にプログラムした方法で、科学的に当たり前の答が出てくる。当たり前の答が欲しい場合には、この手法は良い。しかし、当たり前の答は難解なTRIZやUSITを使わなくても出てくる。TRIZは昔々、科学を最重要視したロシアで生まれた方法であることを思うと、もはや趣味の世界の問題解決法だろう。

 

技術的に使いやすい問題解決法とはどのような手順だろう。現代は科学的思想の時代なので、技術的な問題解決法でも科学的思想のカテゴリーでなければ受け入れられないであろう。たとえばタグチメソッドは有名な「技術」分野の問題解決法だが基本的なSN比の計算手順など科学的である。但し、誤差を必然誤差として眺めるところは科学的統計理論とは異なる視点である。真理を追究するのではなく、機能を追究している点で科学を研究する姿勢ではない。

 

弊社の問題解決法で採用している思考実験の内容は科学的視点で取り上げるが、思考実験そのものは非科学的方法とマッハは述べている。思考実験のシナリオを考え出すK2チャートでは、論理の流れは科学的に行うが、起こりうる場合と起こりえない場合、あるいは可能性を考えられる場合と考えられない場合など全ての事象をひねり出して考えるので非科学的である(アイデアを出すために科学と非科学全ての可能性を考えることは重要である)。

 

2つの技術分野の問題解決法を簡単に眺めてみても、科学と技術の違いが見えてくる。すなわち科学は思想であり、技術は実際の「コト」と表現するとわかりやすいかもしれない。論文を書くためには科学的問題解決手順は重要であるが、実務の問題解決では、非科学的手法でも取り入れない限り、科学で未解明な事象に答え(注)を導き出しイノベーションを起こすことなどできない。iPS細胞で有名なヤマナカファクターも非科学的手法で発見されている。

 

学校で12年以上習う科学的問題解決法は、科学的研究を行う単なる一手法に過ぎない。技術開発では機能を実現する方法を研究開発するのでUSITやTRIZではその目的が異なる(注2)。タグチメソッドは、制御因子を探索する設計段階では良い方法だが、その手前の企画から設計までのところでは、逆向きの推論や思考実験、K0チャート、K1チャートを駆使する弊社の問題解決法が有効だ(注3)。

 

 

(注)技術では機能を達成できれば良いので、科学で未解明でも答が得られる。例えばヤマナカファクターは、iPS細胞を創り出す技術手段として実現された成果である。どのようにイノベーションを引き起こしたら良いのか、という一つの答を山中博士は提示してくれた。弊社の問題解決法は30年の実績があり、フローリー・ハギンズ理論で説明できない現象など科学的に未解明な現象を活用した技術アイデアを導き出すのに成功している。どのようにイノベーションを起こしたら良いのか、科学的常識にとらわれないことが重要である。

(注2)TRIZやUSITでは個人差が出る分析的思考が重要視されている。タグチメソッドでは、例えば直交実験で制御因子を見つけてゆく。この差が科学研究に用いる問題解決法と技術開発で用いる問題解決法との違いである。

(注3)TRIZやUSITはWINDOWSの操作でおなじみのオブジェクト指向で問題解決を行うが、弊社の問題解決法はエージェント指向である。オブジェクト指向では、オブジェクト間の答が不一致の場合にフリーズするが、エージェント指向では、答を中心に問題解決を行うので、問題解決者が求めている答を必ず見つけ出す。TRIZやUSITでは、フリーズを避けるために、当たり前の答を提示する。今求められている問題解決法はイノベーションを引き起こす問題解決法である。

 

カテゴリー : 一般

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