2019.12/22 フィギュアスケートという競技
今年のフィギュアスケート界は、フィギュアスケートという競技がスポーツとして特異な側面を持っていることを気づかせてくれる話題が満載である。
そして宇野選手の事件(労働あるいは仕事として捉えたときにスケート協会の大きなミスである!)からコーチングの意味を学び、マネジメントに活かした人もいるのではないか。
多くのスポーツ競技は、相手と戦うことで勝敗を決め勝者を称える。しかし、フィギュアスケートを世界との国別競争として捉えてしまうと、多くのスポーツ競技とその違いを見出せず、楽しみが半減する。
これは、現在放映されている全日本フィギュアスケートの中継を見ればわかるように、相手と戦うことよりも自分の力を最大限発揮することが求められている競技であることを理解できる。
具体的にはザギトワ選手の引退発言に対する反論や高橋大輔選手の全日本における演技がそれを示している。
ザギトワ選手について4回転やトリプルアクセルができないので明らかにロシアの1歳年下の若手選手に勝てない。高橋選手に至っては33歳というその年齢から羽生選手に勝てないことは明らかである。
高橋選手はシングルをようやく引退する宣言をしたが、ザギトワ選手は周囲の引退発言を打ち消す声明を出している。
もっとも過去に引退を否定しながらも結局引退を余儀なくさせられた選手も多いので、ザギトワ選手の場合も今後は不明だが、彼女の発言や一部のロシアコーチたちの発言を聞く限り、選手を継続する可能性は高い。
勝てる可能性が低くても彼や彼女たちが選手として続ける意思を持とうとしているのは、フィギュアスケートが純粋に自己との戦いの競技であることを見出しているからに違いない。
ゴルフも自己との戦いだと言われるかもしれないが、ゴルフにはホールインワンのような運の要素が入ってくるが、フィギュアスケートでは、運の要素は明らかに低く、逆に運に頼っていては相手に勝てない。
例えば女子で初めて4回転ジャンプを成功したのは安藤美姫選手だが、彼女は運に頼って成功させたのかもしれない、というには無理がある。
確かに4回転成功後の彼女の成績を見ると4回転ジャンプを運の結果と捉える人もいるかもしれないが、その後の彼女の成績が落ちた原因はその私生活にあったのはニュースに報じられたとおりである。
フィギュアスケートを他のスポーツ同様に相手との競争と捉えてみていると楽しさが半減する。
このスポーツでは選手一人一人が自己の最大のパフォーマンスを追求し戦っている姿を観戦するところに最大の面白さがある。
また、その姿には働くときの自己の姿勢における、多くの学びのための教訓を見出すことができる。
例えば高橋選手がショートで見せた年齢を越えたやりすぎの演技は、逆にパフォーマンスを落とすことを教えてくれた。
年をとったなら年齢相応の動きでパフォーマンスを最大にできるよう努力しなければいけない。今日の彼のフリーの演技が楽しみである。
カテゴリー : 一般
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