2020.01/30 バブル崩壊後の停滞
バブル崩壊後、失われた10年と言われていたのが、20年となり、最近では、失われた30年という記事まで散見される。
これらの記事の多くは、日本の構造改革の遅れを指摘している。そしてその原因として多くの補助金制度がゾンビ企業の延命を創り出している問題を指摘している。
この論法は一見正しいように見えるが、これはただ現象を記述したに過ぎない。今必要なのは対策であり、その対策を導き出す原因を探ることだ。
ところで、大企業の経営者および経営陣のベンチャースピリットの欠如とベンチャー企業の育成をうまく行う社会システムが存在しない点は、バブル崩壊前から指摘されてきた。
後者について政府の補助金などを見ると見かけ上ベンチャー育成のインフラが整えられてきたように見えるが、実際に起業してみると、使えるシステムが皆無なのだ。
換言すれば、補助金制度があってもそれを利用できる条件が合わなかったり、応募しても落選し、落選となってもその理由が知らされない。
一方、ある落選した補助金について、当選企業のテーマの状況を追跡してみてもイノベーションに役立っていない。これでは補助金審査委員の能力を疑いたくなる。
弊社は、青色吐息で何とか9年続けてきたが、スタートアップが難しい社会環境に呆れている。
少しずつ前に進みながら思いだすのは高純度SiC事業をゴム会社で起業した経験である。
当時は経営陣の応援があり頑張ることができたが、周囲の妨害が激しく実験データを記録したFDを繰り返し壊されるに至り転職している。
それでもこの事業は、他社へ譲渡されるまで30年間ゴム会社で続いた。これは、創業者のマインドが伝承された経営陣の成果である。ちなみにゴム会社に入社すると全員に創業者の伝記が3種類配布される。
大企業で新規事業を推進するためには、まず経営陣が一枚岩となり、10年続ける覚悟をしなければいけない。
また企業風土にもよるが、大企業で成果を奪い合うような風土のある会社では、新規事業を独立した組織としなければいけない。これは研究所でいわゆる「いじめ」にあいながら推進した経験からの提言である。
カテゴリー : 一般
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