活動報告

新着記事

カテゴリー

キーワード検索

2020.05/03 PCR検査とコンパウンドの品質検査

PCR検査で陰性と判定された老人が死亡し、死亡後再度PCR検査を行ったところ、陽性だった、すなわちコロナ感染者だったことが分かった事件が報じられた。

 

これは、2月ころに、世界では疑わしい人すべてにPCR検査を行っているのに、日本では、PCR検査を行う対象について細かな制約事項が設けられていたことと関係している。

 

現在はそれも少し緩和されたが、諸外国の検査数よりも少ない状態は変わっていない。

 

ところで、これまで検査数が少ない原因はPCR検査法の信頼性が低いため、と説明されてきた。

 

しかし、信頼性が低い検査法ならば、確率の検定を導入し、陽性の判定率を上げることができる。しかし、PCR検査法について信頼性が不明というのが実態ではないだろうか。

 

PCR検査法についてその信頼性が不明である、と指摘する理由についてもう少しわかりやすく説明する。

 

今仮に感染しているかどうか不明の検体Aについて、陽性である確率は1/2、すなわち50%となる。また、新型コロナウィルスに感染している可能性が99%以上を示す症状が出ている検体Bについて、陽性である確率は99%である。

 

このそれぞれについて、信頼性が50%の検査を行ったときに、陽性を示す確率は、Aの検体では25%で、Bの検体では約50%となる。

 

すなわち、信頼性が50%の検出能力しかない検査法でも、陽性の患者だけにその検査を適用すれば、信頼性が50%で陽性を検出できる。また、感染しているかどうか不明の検体について、検査を辞めれば25%のエラーを防ぐことができる。

 

もし25%のエラーにより陰性の患者を誤って陽性の患者が隔離されている病院に放り込む問題と25%のエラーで陽性の患者を逃がす問題の両者を天秤にかけたときに、陰性の検体を誤ってコロナウィルスのうようよいる隔離病棟へ送る問題の方が大きいだろう。

 

年末ジャンボに当たる確率よりも、陰性でありながら誤って陽性として判定される確率ははるかに高い。年末に上板銀座の福引でよくあたりを引く当方は、陰性でありながら陽性とされる可能性は高いと思うので、明らかな症状が出るまではPCR検査など受けたくはない。

 

日本のウィルスバスターたちはおそらくそのように考えたに違いない。しかし、WHO含め世界の感染学者たちは、検査の信頼性など度外視して、どんどん検査を進め、陰性の患者を陽性として判定し隔離する過ちを犯してきた可能性もある。

 

かわいそうに、誤って陽性にされた陰性の患者は病院で正真正銘の陽性になって死亡したかもしれない。しかし、残念ながらこのエラーは検証しようがないエラーである。死体は正真正銘の陽性になっているのだ。死んでからは陰性だったかどうかなど不明である。

 

日本のウィルスバスターの頭がいいところは、さらに感染者が見つかったところでその感染者と濃厚接触した人たちを徹底して検査している。それは名古屋市保健所の談話として2月下旬の時に公開された。

 

以前症状が出ていないが自主的にPCR検査を受けた藤波選手は陽性となったため、彼と濃厚接触していた二人の同僚を検査して、やはり陽性となった。そこで、さらにこの三人と濃厚接触していた女性についても検査を行ったら、二人陽性となった。

 

もし本当にPCR検査の信頼度が低いならば、この5人が本当に陽性かどうか疑わしいが、信頼度が低くても、5人とも過ちとなる可能性は、統計上3%以下である。

 

ゆえに日本のウィルスバスターがクラスターに注目している、という理由には、PCR検査の信頼度を補う効果もある。藤波選手が本当に陽性だったのかどうかは知らないが、濃厚接触者(この時の母数が5だったか6だったかは報告されていない)のある一定数が陽性になれば、コロナ患者は少なくとも一人必ずいる。

 

ただし濃厚接触が男三人に女性二人では数字が合わないように思う方もおられるかもしれないが、それは下衆の勘繰りで、どうでもよい。ニュースによれば、阪神球団の選手ふくめて周辺の人たちは2週間隔離され、症状が出るかどうか観察のため隔離されたのはとばっちりだろう。

 

このように日本では独自の方法で信頼度の低い検査法をうまく使いこなし、もしかしたら、という推定により、感染者の近くにいた人については隔離し観察している。

 

すなわち、日本のウィルスバスターは、科学ではなく技術的センスでウィルスと闘っているように見える。なぜなら、検査をしないことによる陽性患者の出現については、柔軟に経過観察で対応している。

 

これは論理からは考えつかない方法であるが、技術開発ではよくやる。例えば、品質検査の能力に対して、工程能力が高くなったときに、品質検査を撤廃し、工程管理を徹底する。すなわち工程を安定に維持することにより、検査を不要にしコストダウンできる。

 

コンパウンドの生産ではこのような手法を取っているところが多い。この手法についてどのような問題が出てくるのか科学的に調査したことがある。

 

すなわち工程能力よりも高い検査方法を開発し、コンパウンドの品質検査を徹底して行いエラーの出る確率を1年間モニターした。

 

残念ながらたった3ケ月で立ち上げたラインであるにもかかわらず、運転を開始して、3RUNほどで工程能力と検査方法との能力が一致して、エラーが起きなくなった。

 

カテゴリー : 一般

pagetop