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2020.04/12 やりがい搾取

東京大学本田教授により表題の言葉が提唱されてから10年以上になる。当方は提唱者の発言などを聞き、労働の対価に対し彼女は偏った見方をしていると感じている。

 

彼女は、労働の対価について金銭ですべて計測できるような価値観を持たれているようだ。確かに労働者は、労働を提供しその対価として賃金を支払われる立場ではあるが。

 

しかし、組織で働く現代のサラリーマンには、賃金以外の価値を組織から、あるいは社会から支払われている。あるいは、賃金以上の価値を組織なり社会から獲得できるように働かなければならない。

 

知識労働者には、見えない労働対価と言うものが存在する。このあたりについてドラッカーは明確に述べていないが、ドラッカーの著書を読みそれを実践した立場から、行間にはそれが書かれていた、と思っている。

 

当方の体験でいえば、セラミックスから高分子までの実践的知識の大半はゴム会社における業務遂行で獲得した。

 

また、開発をやってから研究するスタイルや、アジャイル開発、マテリアルインフォマティクスなど研究開発に関わるマネジメントスキルまでもゴム会社で学んだ。

 

写真会社ではゴム会社で学んだ知識を実践しただけだが、酸化スズゾルの帯電防止層では、日本化学工業協会から技術特別賞を、ゾルをミセルに用いたラテックス重合技術では写真学会から賞を頂いている。

 

その他にPETの表面処理技術や、接着技術、中間転写ベルトのコンパウンド技術などはゴム会社における技術者経験が無ければ成果を出せなかった、と思っている。

 

ゴム会社では、当方の労働時間から見たときに十分な対価を頂いていないだけでなく、高純度SiCの事業化に際し出願された特許の対価はじめ成果に対する評価さえも十分に頂いていない。

 

しかし、写真会社に転職したときにゴム会社で獲得した知識の数々を強みとして写真会社で成果を出し、利益に大きく貢献している。

 

ゴム会社の人事部長や役員の方々は、当方のモラールを上げるように接していた、と捉えれば、本田教授の言われるところのやりがい詐欺氏となるのだが、さらにFD事件を思う時それ以上のひどい悪人となってしまう。

 

しかし、当方の知識獲得に対して学位取得も含め全面的に支援をしてくれた恩人もいた。

 

このような感覚を本田教授はどのように説明されるだろうか?また、成果に対する十分な対価を支払っていない点に関しては、ゴム会社だけでなく写真会社も同様である。

 

この状態を本田教授の考え方では納得できる説明ができず、経営者がただ悪い、ということになる。

カテゴリー : 一般

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