活動報告

新着記事

カテゴリー

キーワード検索

2020.04/24 PPSの融体

PPS(ポリフェニレンスルフィド)には、架橋タイプとリニアタイプがある。架橋タイプというのはシェブロンフィリップスで最初に開発されたPPSであり、分子量を高くすることができなかったので、酸素架橋して分子量を伸ばし、射出成型用樹脂として上市されたポリマーだ。

 

リニアタイプというのは、その後技術が向上し、高分子量のPPSを製造できるようになって上市されたポリマーで、射出成形にも押出成形にも使用可能である。

 

プロセス性の違いで表現すれば、リニアタイプの高分子量PPSでは糸を製造できるが架橋タイプPPSでは紡糸ができないと言われている。

 

ただし、この点について当方の開発した添加剤を用いると紡糸できなかった架橋タイプでも紡糸できたので、簡単な話ではない。

 

架橋タイプにせよリニアタイプにせよDSC測定すると278℃から290℃の間にTmが観察される。Tgは90℃前後にあり、用途により耐熱性がこのTgで制約をうける場合もあるので、耐熱性樹脂としては使い方に注意する必要がある。

 

冷結晶化温度は120-130℃であり、結晶化できれば用途によりその耐熱性が270℃近辺まで期待できる場合もある。

 

ガラス繊維補強すれば、Tgの影響を小さくできるので、その樹脂の難燃性を活かして使うと、最近コストが下がってきたので便利な樹脂である。

 

さて、このPPSの融体は面白い挙動を示す。何が面白いか問い合わせていただきたいが、例えば粘弾性試験機で得られたデータをそのまま信じていると製造過程で、特に押出成形において発生する品質故障の原因について悩むことになる。

 

弊社で開発されたPH01を用いるとTmが少し低下するがTgを下げない効果があり、耐熱性樹脂としての特性を損なわないだけでなく、融体としての性質も安定化する。その効果は、先に説明したように架橋性PPSに添加した場合には紡糸できたりする。

カテゴリー : 高分子

pagetop