2020.05/29 高分子材料技術
無機材料科学は20世紀にほぼその体系は出来上がったが、高分子材料科学は、ダッシュポットとバネのモデルのレオロジーが破綻したように、現在もその体系を模索中である。
そもそも科学の一分野としての化学は、非平衡状態についてまだその体系が出来上がっていない。統計熱力学で議論できるという人がいるが、それはほんの狭い領域だけである。
実務の世界、例えば高分子材料の世界では、非平衡プロセスで材料が作り出される。そして製造された材料の品質は、結晶状態ではなく非晶部分で左右される。
実用化されている無機材料の物性が結晶の特性で品質が決まってくるのと比べると、高分子の世界では、話が複雑というよりも形式知が無いので科学的議論さえできないケースが多い。
これら以外に、例えば力学物性を取り上げても高分子材料では科学的にそれを議論できない場合も出てくる。
それゆえ、その材料設計には、どうしても経験知や暗黙知を動員する必要が出てくる。
最近アカデミアの世界でマテリアルインフォマティクスという概念が出てきたのはこのような背景があるのでは、と思っている。
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