2020.06/17 美術館女子の失敗
美術館連絡協議会と読売新聞オンラインによる新企画「美術館女子」がSNSで批判の嵐だというので、さっそく見てみたが、確かにこれは失敗作だろう。AKB48チーム8の写真集になっている。
小栗ファンならこれは楽しいだろうが、この企画のHPを見て、初めて小栗有以を知った当方は、その趣旨よりもこのモデルばかりを見ていた。
昔、加納典明氏が、自分の写真を人に見てもらいたいなら女の裸を撮ればよい、という名言を言っている。
また、一方で、サンタフェの成功でヘアーヌード写真隆盛となった時に、ヘアーを映さなくてもいやらしい写真を撮ることができる、とそのブームの本質を突く発言をしていた。
ややHな事例だが、これが写真とそれを鑑賞する人との関係というものである。加納典明氏は、それをわかりやすく表現したのだ。
すなわち、人に見られたい写真は、相当の撮影努力をしない限り、見てもらえないし、安直な被写体を選べば、その被写体の持つ属性で写真の評価が決まってしまうのである。
加納典明氏は、いろいろと問題となる人物だが、その写真家としての洞察力には鋭いものがある。彼ならば、もっと厳しい言い方をするかもしれないが、美術館女子の失敗は、その本来の企画目的と写真とがまったく合っていないのだ。
インスタグラムの普及で大衆の写真力は向上した。おそらく30年前のハイアマチュアレベルではないだろうか。美術館女子の写真は、真に美術を理解し、その哲学を写真として表現できるプロでなければ、訴求力のある絵にならないだろう。
当方はプロではないが、もう少しまともな写真を撮る。仮にチーム8を被写体とする制約があっても、もう少し工夫する。せっかくかわいいモデルを選びながらも、美術館女子に掲載された画像はモデルも企画も活きていない写真である。
カメラの進化で誰でもきれいな写真を一応撮れるようになった。デジタル時代の写真家は、その前提でカメラを被写体に向けない限り、プロの写真と呼べる画像など撮れない。写真家で悩まれている方は、ご相談ください。
カテゴリー : 一般
pagetop