2020.07/16 マテリアルインフォマティックス
情報化時代となり、ビッグデータを活用した成果が連日ニュースになっている。
世界一のスピードを誇るコンピューター「富岳」によるコロナ感染シミュレーションは、おなじみになった。
材料開発にもAIを導入してこの手法を使っていこうという動きがマテリアルインフォマティクスだが、高分子の世界では1970年代にゴム会社で行われている。
二度のオイルショックで燃費改善をタイヤの材料開発で実現しようとしたテーマが企画された。このテーマでは、転がり抵抗の低減とグリップ性能とは二律背反となり、科学的に解を得ることが難しく、多変量解析による最適化が行われた。
IBMのビジネス用大型コンピューターの統計パッケージが使われたのだが、当方は新入社員実習テーマ「タイヤの軽量化」でこれを使用し、データ入力から結果を得るのに一日かかった記憶がある。
今となっては文明の遺物、パンチカードでデータ入力するのだが、このパンチカード作成も大変だった。さらにデータカードができてもすぐに答えが出てくるわけではなかった。
OSはマルチタスクで処理されていただけでなく、ジョブの優先度も決められていた。POSシステムのデータや経理処理の後に解析が行われたので、結果が翌朝でてくるということもあった。
当時3033という型式で呼ばれたコンピューターを使っていたのだが、今のマイコンに比較すると赤ん坊のような頭脳なのに20帖ほどの快適な部屋で大きな顔をして2台鎮座していた。
また、セラミックスでは無機材質研究所でこのような手法で研究を行っていた人もいた。JANAFの熱力学データやASTMカードのデータを打ち込んでデータベースを作成し、研究をされていた。
当時はデータベースを作るところにも一山超えなければいけない手間がかかった。それだけでなく、AIの代わりに、職人並みの経験知を有した研究者の頭が頼りであった。
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