2020.09/08 日産自動車の一時国有化
日産自動車とホンダとの経営統合という話が経産省から出たようだ。日産自動車が断って終わったようだが、これは両社の文化や風土を考慮しないナンセンスな考え方である。
さらに、経産省の話は、ルノーとの調整前、ということで仕事の進め方も役人は理解していないひどい話だ。しかし、巨額の赤字を抱える日産自動車を一度国策会社として建て直す必要はある。
おそらくフランス・ルノーも今は日産自動車を手放したくて仕方がないはずだ。問題は、43.4%もの株式をルノーが保有している状態である。
ルノーも赤字で、おそらく株式の一部あるいは全部を売却する可能性がある。すなわち、身売り先を自分で決められない日産自動車は、シャープよりも厳しい状況に置かれているのだ。
日産自動車がルノーの子会社になってから、国内の日産工場のいくつかは閉鎖され、系列会社もリストラされた。グローバル化の流れで仕方が無いといえば、それまでだが、その結果として日本人の雇用機会が減少した。
新規事業が育っていない国内の状況では、自動車産業は重要である。昨年のモーターショーでは自動車産業を軸にして近未来の新しい事業が生まれる可能性が示された。
日産自動車の問題は、元社長ゴーン体制の名残である。経営陣が、貢献を重視した働き方をしていない点にある。現在の赤字解消は難しい問題ではなく、今日の自動車会社の経営というものが分かっていない経営者で運営されている問題を解決しなければいけない。
今自動車は単なる移動手段ではなく、社会インフラの一部に位置づけられるべき商品である。特に災害の多い日本では、緊急電源が重要で、自動車はその役割を果たすことが可能である。
また、自動運転の未来は、無人運転を可能として、老人社会の貴重な足の役割を果たすだけではなく、ドローンと組み合わせた物流の一翼を担う。自動車メーカーは、未来社会を提案し創り出すことが可能な企業となった。
本来自動車産業とは、市場創造型で常に市場にイノベーションを引き起こす商品を供給しなければ事業の継続は難しい。
日産自動車もそのような活動を行っているように見えるが、ゴーン体制になってからちぐはぐな活動ばかりで、利益優先が目立ってきた。
もし、経営陣に現在の日産自動車を建て直すだけの気概があるならば、給与を全額返上(生活のため従業員の最低給与だけ支給する)して仕事にあたるべきである。
また、そのような経営者で経営陣が構成されなければ日産自動車の再生はない。もしルノーが日産の株式を売却したならば、可能性として低いかもしれないが、ブリヂストンは名乗りを上げて株式を買い取っていただきたい。
その昔、プリンス自動車を日産に売却した歴史がある。また、電気粘性流体の自動車分野への応用に関し共同開発も行っている。スカイラインは、プリンス自動車の遺産であり、ブリヂストンが今回日産の株式を購入してもおかしいことではない。
そしてブリヂストンの経営陣により日産を再生し、新事業を生み出す姿は、現実性がある。畑違いの高純度SiCの事業を30年継続できた会社である。日産を再生させるくらいの実力のある経営陣だ。
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