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2013.08/18 科学と技術(26)

パーコレーション転移という現象は、高分子に粒子を分散するときに物性変化の現象として観察される。例えば粒子が導電性であれば、パーコレーション転移で微粒子を分散した高分子の電気抵抗が大きく変化する。この時弾性率も同様に変化する。

 

弾性率の変化はせいぜい数10倍までだが、電気抵抗は1/1000まで変化するのでかなり昔から注目されていたらしい。パーコレーション転移という名称はあたかも電気が抽出されるような転移という意味で、コーヒーを抽出するときに使用するパーコレーターにちなんで命名された。

 

パーコレーション転移を制御する技術は1990年頃までノウハウとして伝承されていた。科学の世界では、数学者達が1950年代頃取り上げていた、という記録が残っている。ボンド問題とかサイト問題とか呼ばれていたらしい。

 

このボンド問題とかサイト問題の呼び名は、粒子のつながり(クラスター)の考え方から由来しており、クラスターのできかたが、立方体を仮定したときに、稜でつながりを考えるのか、面心に存在する粒子のつながりで考えるかにより、転移が生じる確率が変化した。そのため数学者達の関心を呼び、研究が進められた、とスタウファーの教科書に書かれている。

 

また、パーコレーション転移は、粒子が真球であるのか、短径方向と長径方向の比(アスペクト比)が1以上異方性を持った粒子なのかにより発生確率が異なっている。例えば、発生確率を高分子に微粒子を分散したときの、微粒子の占める体積分率で表現すると、真球の場合には、0.35前後に臨界確率(閾値)が存在し、ボンド問題とサイト問題ではその値が異なる。

 

クラスターをどのように捉えるかにより転移の閾値が異なるので、真理を追究するのが目的である科学、とりわけ数学の世界で研究が大きく進歩した。数学の世界から30年以上遅れ、化学の世界でも1990年前後からパーコレーション転移について研究されるようになった。

<明日へ続く>

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