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2020.12/04 技術者の解放(19)

傾斜構造の粒子をリーダーに話した時に頭で考えるだけならだれでも言える、と言われた。当方は、それを製造するプロセスも考えたうえで話したのだが、笑われた。

 

当方は住友金属工業とのJVを立ち上げる準備を一人で担当していたので、余分な仕事をするためには残業をしなくてはならなかった。

 

しかし、笑われた以上残業など認めてもらえないことは明らかだったので、サービス残業で傾斜構造の粒子を合成した。内部は10の6乗Ωcmで表面は10の11乗Ωcmであり、絶縁体ではなかったが、高い電気粘性効果がこの粒子で得られた。

 

合成には二晩かかったが、最初の実験として大成功だった。傾斜構造の粒子と比較するため、超微粒子分散型微粒子も2種類製造した。

 

1種類は絶縁体超微粒子が半導体内部に分散した粒子であり、他の1種類は半導体超微粒子が絶縁体に分散した粒子である。

 

これらの粒子を製造する技術は、高純度SiCを製造する技術について科学の視点で研究を進めた形式知から容易に実現できた。

 

科学の長所は、真理を応用した時に必ず真理として現象に現れる点にある。怪しい経験知では、それを展開した時に、再現しないというペナルティを味わうこともある。

 

ゆえに経験知を獲得したら、可能な限りそれを科学の視点で見直す習慣にしている。科学を道具として使うとは、このような意味である。

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