2013.09/18 電気粘性流体とゴム1
電気粘性流体をゴムに封入したデバイス開発をそのテーマの途中で担当した話。
先日までオイルと高分子成形体の組み合わせで引き起こされるケミカルアタックの話を書いたが、ゴム会社では、オイルを封入でき耐久性のあるゴムを開発できるのだ。
ところがオイルを封入するゴムができても電気粘性流体が劣化する問題が発生し担当者はあせっていた。電気粘性流体はオイルと特殊な半導体粒子でできている。電場をかけると電極間に粒子が並び、あたかも固体のように変化する。電場を除去するとまた流体に戻る。すなわち電場のON-OFFで流体の物性と固体の物性とに制御できるデバイスであるが、使用中にゴムの添加剤が電気粘性流体のオイルの中に抽出されゲル化するという問題が発生したのだ。
ゴムの耐久性を最も心配していたらしいが、ゴムの配合物が流体に抽出されゲル化する問題を考えていなかったらしい。コロイド科学の問題なので界面活性剤で対応する、というのが定石であるが、市販の界面活性剤をすべて試しても良いモノが見つからなかった、とのこと。担当者が相談に来たときに「解説策は界面活性剤」、といったら「それは試したけどだめだったので他のアイデアを期待している。」といって部屋を出て行った。
他のアイデアといっても界面活性剤以外に対応の方法は無いはずである。とりあえず增粘した流体をもらい、その中に1%ずつ手元にあった界面活性剤を添加したら、ある種類の界面活性剤で增粘が改善された。
さっそく担当者に連絡して方法を教えたら、それは市販の界面活性剤ではない、と言い出した。確かに界面活性剤として購入した化合物では無いが、分子構造は親水性部分と疎水性部分が存在するのでれっきとした界面活性剤である。このようなミスを防ぐには弊社の研究開発必勝法プログラムを導入するとよい。
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