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2013.09/29 フェノール樹脂の難燃化(1)

一般のフェノール樹脂はLOIが25以上あり、空気中で自己消火性である。しかし、フェノール樹脂の発泡体は配合処方の違いで、建築基準の不燃性を満たす材料から建築基準を外れるものまで防火性が異なる。建築の難燃基準を満たすフェノール樹脂発泡体は、軽量断熱材料として天井材などに用いられている。

 

フェノール樹脂には、アルカリ触媒でオリゴマーを生成後酸触媒で硬化させるレゾール型フェノール樹脂と酸触媒でオリゴマーを生成してアルカリ触媒で硬化させるノボラック型の2種類が存在する。発泡体にはレゾール型フェノール樹脂が用いられている。

 

30年以上前に調査した時に驚いたのはフェノール樹脂発泡体に関して各社材料設計の考え方が異なっていた点である。発泡体だけ販売するメーカーから、樹脂原液を販売し難燃性の設計をユーザーに任せるメーカーまで様々であった。また、建築基準を満たす材料として販売しながらその品質保証をしないところもあった。

 

ゴム会社では、硬質ポリウレタン発泡体の後継商品として企画していたので、社内で発泡体に仕上げ付加価値をつけて販売する方針だった。しかし、レゾール型フェノール樹脂原液を購入し発泡体を合成すると、どこのメーカーの原液を使用しても建築基準を満たす発泡体が簡単にできなかった。LOIまで様々な発泡体ができた。驚いたのは重合条件を少し変えただけでLOIが10以上も変化するフェノール樹脂があったことだ。

 

とりあえず各社のモデルサンプルを徹底的に解析し、処方設計しようという方針が出されリバースエンジニアリングを始めたのだが、三次元に架橋したフェノール樹脂の解析は難しかった。1社ずば抜けて難燃性の高い商品を出していたところがあり、とりあえずその商品について徹底的に化学分析を行ったが、驚いたことに難燃剤が検出されない。

 

この一社集中リバースエンジニアリング作戦はタマネギの皮をむくような結果に終わり、難燃剤を使用しなくとも建築基準を満たすフェノール樹脂発泡体ができることだけが唯一の成果だった。

 

カテゴリー : 一般 高分子

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