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2021.08/12 オーディオ業界に学ぶ(3)

オーディオ業界は、およそこの50年間に誕生から衰亡までを経験した業界である。今この業界は、車載用オーディオ製品がメインとなり、BtoBのビジネスが展開されている。


そこではブランド価値が付加価値となっており、単なるOEMビジネスでは利益があがらないので一部のメーカーだけ事業として成り立っている。車載用マーケットには、昔から自動車部品としてのオーディオメーカーが存在していたからである。


ローディーやOTTOなど家電メーカーのブランドで車載用オーディオ製品を目にすることが無く、ボーズやJBLといった海外高級オーディオブランドで特にスピーカー分野で有名なメーカーが、高級自動車のオプションとして採用されるに至った。


中国の安価な家電に押されて衰退した家電業界とオーディオ業界の相違点は、前者では市場はそのまま残っているが、後者ではかつてのセパレートステレオやコンポーネントステレオが商品として販売されていたホームオーディオ市場そのものが無くなっていることである。


さらにその末期は高級オーディオ分野がバブル前に活況を呈していていたが、それさえもしぼんでオタク市場となり国内は風前の灯火となっている。さらにこの分野を支えているのは往年のオーディオマニアたちであり、皆高齢化している。


加齢とともに耳が悪くなることはよく知られており、その耳の悪くなった老人たちによるオーディオ談義は、ある意味滑稽である。昔の印象で語られるその内容は、ぼけ老人の回想以外の何物でもない。


しかし、彼らの語りの中には真実も存在し、TVの音がいくら良くなったと言っても、さらにSN比の高い専用のオーディオシステムの音にはかなわず、また音場再生能力については悪くなった耳でも聴き分けることは可能である。


 

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