2013.12/21 産経新聞の記事
昨日の産経新聞の記事には驚いた。猪瀬知事が副知事時代に徳州会が都知事選のために1億5000万円用意していて、検察はそのお金を受け取る人物を監視していた、というのだ。そして、そのうち5000万円を猪瀬知事が受け取るのを確認し、徳州会疑惑を表で捜査を開始したとのこと。
贈収賄事件は1億円以上が相場だそうで、5000万円では贈収賄疑惑にならないので、検察が意図的にリークした、ともうわさされていたが、今回の事件は少し薄気味悪い印象を受けた。
猪瀬知事の副知事時代の業績を今更ここで紹介するまでもなく、知事選の得票数がそれを物語っている。選挙でカネを使わなくても猪瀬知事は誕生していた、と都民の誰もが思っていたのではないだろうか。実行力があり、ずばずばと問題点を指摘する勇気とその行動に私心の無い仕事ぶりに都民は惚れたはずだ。石原-猪瀬コンビで東京都はかなり良くなった、と思う。
しかし、食べてはいけない毒まんじゅうを食べてしまったようだ。ご本人は政治家としてアマチュアだった、と述べている。しかし、最後まで徳州会を紹介した人物をしゃべらなかったのは、単なるアマチュアではないだろう。政治とカネの問題はロキード事件で大問題となり、現在まで選挙がある度に取りざたされてきた。猪瀬知事もその当たりをよくご存じのはずだが、毒まんじゅうと分かっていて食べてしまった。
政治の世界とはそのようなものだ、と言ってしまえば簡単だが、実績を上げた人物が、そして恐らく現在最も知事にふさわしいと思われた人材が、5000万円で吹っ飛んだのだ。恐らく猪瀬氏の性格からもう政治家としての活動はやめてしまうだろう。
魔がさす、という言葉があるが、5000万円の授受はこの言葉が合っているような気がする。猪瀬知事の著作物を読む限り、一個だけ食べてしまったのだろう、と信じたい。もしそうだとするとあまりにももったいないことだ。人間誰でも魔がさすことはある。
ドラッカーが誠実、真摯な人材を経営者として選び育てるように遺作に書いているが、猪瀬知事は石原元知事が育て、都民がその様に認めた人物である。猪瀬知事の事件から、しかるべき職位になった場合には、誠実かつ真摯な生活に努めないとどこに監視の目があるのか分からない、ということだろう。
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