2021.10/06 ニーダー
高分子に他の高分子や添加剤を混ぜるときに、ニーダーが使われるときがある。技術者により、この表現は、ニーダーを使う、という人もいるかもしれないが、あくまでもニーダーは高分子を混練するための一つのプロセスであり、これだけではない。
ニーダーだけで混練技術を研究していると、ロール混練で到達できる混練レベルのコンパウンド性能を実現できないので、大切な現象を見落とすことになる。
そもそも、ニーダーがロール混練並みのレベルまで混練することができない、という事実を知らない人が多い。簡単な配合であれば、そのようなことを知らなくても不便はないが、高機能なコンパウンドを開発したいときにニーダーだけで開発していては、失敗することもあるので注意が必要である。
また、技術者の混練キャリアにより、ニーダーは充填率70%以上で用いるべきだ、という考え方の人もいる。充填率が低いと剪断力を大きくかけられないので混練効率が著しく低下するためだが、実は低い充填率であっても剪断力をかけることができるし、充填率も制御因子として使うと混練による高分子の変性技術の幅を広げることができる。
ロール混練のキャリアがあれば、このあたりの理解は容易であり、さらにニーダーの使い方もうまい。PPS/6ナイロン/カーボンの配合で、周方向の抵抗が安定したベルトを押し出すことに成功した時の最初に使用したのはニーダーだったが、特殊な運転条件で使用した。詳細は弊社に問い合わせていただきたい。
道具は使いようで光る、と言われているが、混練分野に関しては、混練機の制約から到達できるコンパウンド性能に限界があることを知るべきである。混練装置は単純な構造なのでそれを誤解している技術者は多い。
カテゴリー : 高分子
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