2014.02/01 STAP細胞発見の意味(1)
ヒューマンシステムが重要になるこれからの問題解決法
従来の問題解決法は、日本科学技術連盟(日科技連)新QC手法に見られるように決められた科学的問題解決手順にそって行えば誰でも簡単に問題解決できる、という内容だった。科学が技術を牽引していた時代には、問題は科学的成果で解決されるのでこのような問題解決法で対応可能であった。
しかし新しい技術のイノベーションが重要になってくると、科学で解明された自然現象を使っている技術だけでは難しい。科学で解明されていない自然現象も技術開発に多数取り込む勇気が必要になる。
32年間のサラリーマン生活では積極的に科学で解明されていない自然現象を技術に取り込む努力をしてきた。この過去の経験から科学で解明されていない自然現象を取り込んだ技術の問題解決に従来の問題解決法では限界があると感じている。
30年前に燃焼時にガラスを生成する組成でポリウレタン発泡体を設計したときに、日科技連の問題解決法を用いたが、PDPC図が複雑になったのでK1チャートとK0チャートという独自の図法を編み出した。この独自の図法を活用して高純度SiCの企画を行った。そして独自のチャートに現れたループの問題を解消するために、廃棄物となったフェノール樹脂を用いて実験を行い企画の成功を確信した。
以来独自の問題解決法を磨き上げ、退職後研究開発必勝法として販売している。この方法の詳細は問い合わせて頂きたい。従来の問題解決法は科学的システムであるが、弊社の問題解決法はヒューマンシステムという位置づけである。
例えば、独自の図法作成時に科学的推論ではなく、「成功した時」と「失敗した時」、あるいは「正しい時」と「間違っている時」、「○」と「×」、「△」などあらゆる事象を考えるルールにしている。
科学的に判断できるときにも一応科学的に否定される内容も同時に検証するのである。こうすることにより技術開発で遭遇するあらゆるケースを検討できることになる。
やや面倒な方法に見えるかもしれないが、そこはヒューマンシステムとしてうまく機能するように、すなわち使いやすくする工夫もしている。
さて、退職してから日本人が誇りとすべき2件の大きな技術分野の出来事があった。iPS細胞のノーベル賞受賞とSTAP細胞の発見である。両者の共通点は非科学として誕生していることである。すなわち科学的大成果が技術として創出され、その技術を科学的に証明するというプロセスになっている。
このような科学的成果の創出法は、科学の無い時代に当たり前のように行われていた方法である。例えばニュートンの万有引力の発見は、思考実験という非科学的手法を用いて見いだされている。そしてこの手法は科学の時代においてもマッハにより伝承され、その指導を受けたアインシュタインはそれを活用して相対性理論を生み出している。
これらの例だけでなく過去の世界的な発明の多くは科学的に行われたわけではなく、ヒューマンシステムによる問題解決法で行われていた。「マッハ力学史」では、力学分野の発展史について科学と非科学の視点でそれらの考察を行っている。また、E.Sファーガソンの「技術屋の心眼」では、ヒューマンシステムで役立つ心眼というものについて解説している。
科学の進歩が著しかった20世紀には科学的問題解決法で技術開発を行っていても科学の進歩と同じスピードで技術の進歩が保証された。しかし、科学の進歩が遅くなってきた昨今、あるいは科学の進歩においてSTAP細胞やiPS細胞発見のようなヒューマンシステムによる方法が顕在化してきた昨今の状況において技術開発を従来の科学的問題解決法に頼っていては迅速な開発ができないばかりか、イノベーションも起こすことも難しくなる。
今技術開発へ積極的にヒューマンシステムの問題解決法を取り入れるべき時期ではないだろうか。TRIZやUSITを一度使用した人ならば、その面倒な手順で科学的に当たり前の結果が得られた経験をもちその手法に落胆された技術者は多いのではないか。
技術は自然現象を人類の幸福のために制御して使用する方法である。自然現象の全てが科学的に解明されているわけではないので技術は積極的にヒューマンシステムを取り入れ、技術が科学を牽引すべき時代かもしれない。
カテゴリー : 一般
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