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2022.02/21 高分子材料の寿命予測(4)

金属についてその寿命予測はほぼ科学的に可能である、と信じられており、金属の疲労により生じた事故についてフラクトグラフィーによる解析が裁判の判例として存在する。


しかし、高分子材料についてその手法は未だに金属のように信頼できる手法として普及していない。しかし、品質問題が起きたときにその原因解析を行うために破断面の情報は重要である。


破断面の解析、フラクトグラフィーを成功させるためには、破断直後の汚染されていない破面が重要である。問題の起きている現場で、マクロレンズによる破面の写真撮影だけでも原因解明ができる場合がある。


最近のデジタルカメラは画素数が高いのでマクロレンズで等倍撮影後、デジタル画像を拡大することにより数十ミクロン以上のボイドあるいは異物を見つけることが可能だ。


そして、そこを起点にして同心円状の模様を探し見つかったならば、ほぼそこが破壊の起点となった可能性が高い。さらに、平滑破面と凸凹破面が連続して見つかると、その材料が破壊に至ったシナリオを描くことが可能だ。


すなわち、平滑破面では破壊エネルギーの伝播速度が速かったためにできた可能性が高く、凹凸破面はその速度が遅かったために形成された、と推定される。


これらは金属におけるフラクトグラフィーの手法をそのまま当てはめているのだが、樹脂材料ではよくあてはまる。加硫ゴムでも同様の現象が観察されたりするが、平滑破面かどうか悩む場合も存在する。


また、異物が見つかった時に異物よりも大きいボイドがその異物の存在していたところにできていたりして、異物が原因となったのかボイドが原因となったのか不明となる場合がある。


高分子のフラクトグラフィーでは、時に説明が難しくなる破面が観察されたりして、いつも成功するとは限らないが、材料の破壊で発生した品質問題を解決するときに有力な手段となる。ところが、科学的ではないという理由で解説書が少ない。

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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