2022.03/10 ゴム屋と樹脂屋(5)
ゴム会社の研究所においても混練に対する考え方が異なっていた。ゴムのコンパウンディングを現場においてバンバリーとロールで行う以上、研究開発段階もそのプロセスで行うべき、という考え方は少数派だった。
研究開発段階は、簡便なニーダーでコンパウンディングを行っても問題なし、という見解が主流だった。科学的にもっともらしく聞こえる蘊蓄をこねる研究者もいたが、当方は高分子のプロセス依存性が大きいことを考慮すると、簡便なニーダー使用に賛成しかねた。
ゴム屋の中でも50年近く前このような状況だった。50年近く前に二軸混練機の高性能化の技術開発が始まっているが、未だに高性能ゴムを製造したいならばバンバリーとロール混練のレベルまで二軸混練機1発でコンパウンディングは不可能である。
二軸混練機に、当方のカオス混合機をつけただけでもコンパウンドの性能は向上するが、バンバリーとロール混練のレベルまで上がっている自信は無い。
さて未だにバッチプロセスと連続プロセスでは、コンパウンディングにその性能差が存在するが、射出成型の用途では高いコンパウンディング性能が要求されないので、高性能化された二軸混練機で十分な混練ができると信じている樹脂屋は多い。
20年近く前に、半導体無端ベルトの押出成形技術の開発を担当した時に、前任者から国内トップメーカーのコンパウンドだから完成度は高い、と言われた。しかし、そのコンパウンドを用いて半導体無端ベルトの押出成形を行うとパーコレーション転移によるばらつきが発生し、歩留まりが10%前後となった。
この原因について、コンパウンドメーカーの技術者は、押出成形技術が未熟なためと説明してきた。さらに、コンパウンドは十分に分散混合されて技術として完成している、と主張していた。
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