2022.05/24 ジョー・パス(2)
科学の形式知や職人の優れた暗黙知や経験知について理解するには、ジョー・パスは最適である。なぜなら、形式知に相当する音楽理論や多数のジャズメンとの演奏による経験知や暗黙知を彼の演奏から学ぶことができるからである。
名人とか名演奏家の意味を持つイタリア語バーチュオーゾをそのままタイトルとしたソロアルバムが4枚ほどあるが、このアルバムを聴くとその音使いの多彩さにびっくりする。
おそらく耳のいい人ならば、複雑なコードが出てくるので難解に感じるかもしれない。しかし、彼はギターの指板にCAGEDシステムを導入した達人であり、このCAGEDシステムにより複雑なテンションのアイデア実現を容易にしている。
ギターと言えばカルカッシの教則本が有名であり、練習曲には拷問とさえ感じる指使いも出てきたりする。当方はそのためギター練習に挫折したのだが、ジョー・パスの教則本ではCAGEDシステムによる指使いの楽な運指が解説されている。
リーリトナーはじめロックギタリストの速弾きは、彼の考案したCAGEDシステムなしには不可能だろう。バッハが音楽の父ならば、ジョー・パスはギター演奏の父かもしれない。
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