2022.07/13 混練技術の難しさ
高分子材料の多くの分野ではコンパウンディング技術が重要となるが、大別して2つの難しさがある。一つは品質問題に関わらず、実技の難しさと、品質問題が起きなければ気がつかない難しさである。
品質問題が起きなければ、混練技術の難易度に気がつかない原因は、機械を導入し混練すればとりあえずコンパウンド(ペレット)ができるからである。
とりあえずできたペレットで何も問題が起きなければ、混練技術の存在を忘れることさえある。逆に何か問題が起きたときに、原因がわからなくなってはじめて混練技術の難しさに気づく。
15年以上前の話になるが、国内で一流と言われているメーカーからコンパウンドを購入し押出成形により半導体無端ベルトの開発が行われていた。
歩留まりがなかなか上がらず、製品化期限まで半年という段階になって当方にリーダーを代わってくれと言ってきた部長がいた。
当方は引き受けて、中古機を集めコンパウンド工場を立ち上げて歩留まり100%となるコンパウンドの生産を開始し、問題解決するのだが、それまで誰もコンパウンドに問題があると気がついていなかった。
面白いのは、それから一流コンパウンドメーカーは研究開発を進め、当方が立ち上げた工場の技術と類似技術の特許出願を10件ほど行っている。
問題に気がつかない限り、技術開発をスタートできないような厄介な技術であるが、「正しい問題」に気がつくことの重要性をドラッカーが指摘しているように、混練技術についても正しい問題を考える習慣をつければよいだけである。
カテゴリー : 高分子
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