2022.07/22 ブルース(2)
昔の黒人の歌うブルースは音程が独特であり、ミソシの音が半音下がったように聴こえる。カラオケでこれをやると、「へたくそ」と言われるが、ブルースメンが歌えばそれはブルースというカテゴリーの音楽となる。
今音楽はバッハの発明による旋律が標準だが、日本の民謡も含め本来民族特有の旋律があったと言われている。ゆえに中村トウヨウ氏監修による古いレコードを聴いてもドレミファソラシドというメジャースケールから外れたメロディーが幾つか飛び出してくる。
50年前に来日したブルースメンにより演奏された音楽はブルースロックであり、Cマイナーペンタトニックの演奏だったが、興味深いのは、ジャズもブルースを起源としながら西洋音楽のチャーチモードの中でブルースが演奏されていることだ。
このブルースとロック、ジャズという音楽を五線譜上で眺めていると面白いことに気づく。ロックはブルースをそのまま西洋音楽の旋律に乗せたのに対して、ジャズでは西洋音楽の旋律の中でブルースを理解しようとした努力が見えてくる。
ここで西洋音楽を科学に、ブルースを目の前の現象として置き換えていただくと、科学と技術の視点を説明しているような雰囲気になる。
すなわち、科学で現象を眺めるときに、科学の体系の中でそれを展開しそれを理解しようとし実験を行う。ただし、ジャズならば音の高低を#なり♭で調整できるが、科学ではそれができない点に注目していただきたい。
ところが、科学で完璧に説明できなくて否定証明になっても、技術者は、ロックギタリストがペンタ一発でアドリブを弾くように、現象から機能を素直に取り出しモノと仕上げることができる。
熟練技術者はさらに多くのテクニックで現象から新しいアイデアを見つけ出す。問題解決のためのアイデア創出法のセミナーを8月に予定しています。トランスサイエンスが常識になった今の時代に科学だけで問題解決しようというのは時代遅れである。
カテゴリー : 一般
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