2022.08/04 情報化時代の技術開発(3)
研究開発と言えば科学的に行うことが常識となっているが、科学の無い時代にも技術開発が行われてきた歴史及びセラミックスフィーバーによるイノベーションを体験すると科学の方法とは異なる技術開発のパラダイムが存在することに気がつく。
キンガリーの教科書ではそれが中途半端に扱われていた。昨今のデータサイエンスの研究状況では、一見科学的に見えるがそこで展開されているマテリアルインフォマティクスは従来の科学とは少し異なるパラダイムである。
分かり易く言えば、データ中心に帰納的に展開している(この部分は科学)が、開発されるべきオブジェクトの機能を中心に据え、その現象を追跡している。
ただしこれは、昔ながらの技術開発で行われてきたパラダイムに近い。そこにデータの扱いこそ科学的ではあるが、予測されない因子も演繹的にデータ解釈に利用しようとする科学の方法である。
このあたりを擬人的に説明すると、職人ごとに異なる品質を均一にするために職人の動作をビデオデータとして撮影し、それを解析し因子を抽出、そしてそのデータ解析された結果で職人を教育し品質を高めようとするものである。
ここで、職人が技術者の場合には、わざわざビデオデータに落とさなくても技術者による自己学習で機能の開発を行える。
一部の技術者はそのような方法で技術開発を意識的に、あるいは無意識的に行ってきたが、科学的ではないという理由で評価しない経営者がいた。
現物現場主義という言葉は、データ中心に現象をとらえよう、すなわちデータ中心にモノを考えようという姿勢を意味する言葉だが、これは科学者が現象を仮説中心に捉えるために新たな問題が生じたため言われ始めた。
身の周りの現象すべてを科学の形式知で解釈できるわけではない。そこでまず現象をデータとしてとらえて科学的手続きによりそこから新たな知識を得ようとしているのが最近言われているマテリアルインフォマティクスの方法である。
この方法は、これまで技術者が現象から機能を取り出すとしてきた方法と類似であるか、あるいは同じ方法である。データマイニングを人間ではなく機械AIにやらせようとしているところが異なる。
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