2022.08/19 情報化時代の技術開発(12)
マテリアルインフォマティクスのブームであるが、データサイエンスを適用した技術開発は多変量解析が登場した40年以上前から行われてきた。何か目新しい研究ではない。
科学的ではないということで注目されていなかっただけだ。また、そのような手法を用いていると研究の妨害を行う企業研究所も存在し、当方は転職を余儀なくしている。
ところでこの手法は、科学の方法とは少し異なる。それが今注目される理由は、科学で答えられない問題が増えてきて、トランスサイエンスという言葉もポピュラーとなり、科学と非科学の境界が変わりつつあるためではないか。
それだけ形式知に関する情報が溢れていても問題解決できない事例が開発現場に多いのだろう。例えばPPSのトラッキング特性が射出成形条件が一定でもばらつく問題は、形式知で理解できない。
この現象では、PPSであるにもかかわらず100V程度の電圧で絶縁破壊した成形体サンプルを見せられたこともある。これではMAO処理に耐えられない。
ある方法でこの問題を解決でき、300V以上でもロバストが高く絶縁破壊しなくなるPPS材料を4年前開発しているが、このような情報は4年前の古い情報でも日本では知られていない。
PPSの変性方法をノウハウとして隠すため特許出願していないからである。ただし弊社からストーリーを変えてそこに添加された物資の特許をこの技術開発前に出願している。
その特許には絶縁破壊の言葉は出てこないが、射出成形でトラッキング特性がばらつく問題の解決方法に使える。このようなことはそれを解説されない限り不明である。
情報化時代であっても簡単には入手できない情報が存在していることを理解していない人は多いのではなか。非科学的な情報では技術的価値をすぐに理解できないことを知るべきである。
しかし非科学的であってもロバストが高い機能であれば十分に技術として成立する。それがトランスサイエンス時代の技術である。
カテゴリー : 一般
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