2022.12/09 科学的実験(4)
χの大きな2種のポリマーを混ぜると分離する。これは水と油を混ぜようとしてもうまく混ざらない現象と似ている。
水と油の場合には、界面活性剤を添加してミセルを形成すると、混合した時に均一な懸濁液となる。ポリマーの混合では、相溶化剤(コンパチビライザー)を混ぜるとうまく混ざることが多い。
界面活性剤もコンパチビライザーも機能として似ているが、両者を同一機能の視点で扱った論文を見たことが無い。その結果、シリコーンポリマーに微粒子を分散した電気粘性流体に界面活性剤を添加する技術について、平気で否定証明を展開する優秀な科学者が現れた。
この科学者について書くつもりはないが、コンパチビライザーと界面活性剤の機能は似ている。しかし、界面活性剤の理論がミセルを前提にしているが、コンパチビライザーは界面の自由エネルギーの低下を期待して用いる。
詳細は弊社に問い合わせていただきたいが、電気粘性流体の耐久性問題では、シリコーンオイル内にミセルを形成する考え方では問題解決ができなかったらしい。
らしい、と書いたのは、詳細な研究データを見せてもらえなかっただけでなく、議論にも加えてもらえなかったからだ。ただ、社内のプレゼンテーションでは立派な否定証明が展開されて高い評価を受けている。
当方はこの耐久性問題をデータサイエンスにより解決したのだが、そして電気粘性流体の実用化にも新たな粉体を設計し提供したにもかかわらず、いかがわしい事態になり、転職している。
科学的な実験で実用性が無くても高い評価がなされた時代の話である。研究所は1000に一つ当たればよい、と所長以下のんきに話していた時代がバブル前に存在した。
そのような時代に科学的研究と非科学的なデータサイエンスによる問題解決法とを並行して進めてきた。前者の成果で学位を授与され、後者の特許や学会で公開されたデータをセミナーでお話ししている。
科学論が盛んに議論され、日本の科学技術がバラ色の未来を約束すると多くの日本人が科学に酔っていた時代に、アメリカでトランスサイエンスという言葉が誕生している。
ムーアの法則がいつまで続くのかもアメリカ人は真剣に議論していた。ソフトバンク発行の大衆コンピューター雑誌には、DXという言葉こそ使われていなかったがオブジェクト指向の到来が紹介されていた。
やがて未来のエージェント指向の闇が議論され、20世紀末に映画「マトリックス」へと流れてゆく。それらの雑誌はすべて廃刊となった21世紀にDXという言葉が一般化している。
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