2022.12/20 労働生産性をあげる方法
日本生産性本部が19日発表した2021年の労働生産性の国際比較によると、日本の1時間あたりの労働生産性は49・9ドルで経済協力開発機構(OECD)加盟38か国中27位だったそうだ。
日本人の労働生産性の低さは、長時間労働がその原因と昔から言われており、20世紀末に総労働時間1800時間を目標に日本中がその削減に努力した。
当時ささやかれたのは中高年のデジタルリテラシーの低さだった。当方はすでに40となり、中高年の仲間入りをしていたが、驚いたのは部下に資料作成をさせている管理職が多かったことだ。
プレ資料ぐらい自分で作成せよ、と言いたかったが、転職者ゆえに我慢した。面白いのは10年後にはそのような管理職は周囲に少なくなった。
それから5年後2つの会社の統合のため生産性の高い仕事をしていた当方は何故かリストラされ、フィルム事業とは全く異なる事業部のある豊川へ単身赴任している。
腐ることなく気持ちを切り替え(注1)、たった3人で6カ月という短期間で、その基盤技術のない会社でコンパウンド工場を立ち上げた。これは工場立ち上げを経験された方なら、あるいはコンパウンド製造ラインをご存知の方ならば、異常な生産性の高さ(注3)であることをご理解いただけると思う。
当方はゴム会社でもたった一人で、高純度SiC半導体治工具事業を住友金属工業とのJVとして立ち上げている(注2)。さらに電気粘性流体の耐久性問題の解決やその性能向上のための傾斜機能粉体の合成はじめ3種の特殊粒子の開発を同時に行っている。当時の研究所の一人平均の4倍以上成果を出していた。上司の手紙が証拠として残っている。
これらを可能としたのは、デジタル技術である。ゴム会社では、主にLattice CとLOTUS123を駆使しFDがノート代わりだった。ゆえにそのFDをいたずらされた事件を隠蔽化されたので、高純度SiCのJVが立ち上がったところで転職している。
生産性を落とすような環境で仕事などできないと判断したのも理由の一つである。DXの進展で、本来は生産性が上がらなければいけない。まさか日本全国でデータ媒体のいたずら事件が起きているわけでもあるまい。
来年、当方の仕事のノウハウを公開するセミナーを企画している。確実に技術者の生産性が上がる方法である。余った時間で新しい技術の構想を練るようになれば、日本の将来は明るい。
(注1)この欄で投げ売りされていた新品のギブソンES335を購入した話を紹介している。ES335のおかげで自己の強みを再認識して単身赴任している。もちろんES335も単身赴任先に持っていったが、5年間一度も弾くことが無かった。その代わりカオス混合はじめ5年間に数多くの成果を出すことができた。早期退職の翌年には最後の仕事が社長賞を受賞している。元部下が記念のPETボトルを大量に送ってきてくれた。
(注2)Y本部長時代に社長方針1.電池、2.メカトロニクス、3ファインセラミックスが出されていたが、Y本部長はファインセラミックスに前向きではなかった。しかし、当方の活動により2億4千万円の先行投資が社長決裁で決まっている。U本部長になり、プロジェクトは縮小されたので生産効率を上げる工夫をしなければならなくなった。ただ、U本部長はそのためのアイデアをいろいろ指南してくださった。研究者が営業部員となって活動することもその一つだった。それだけではない。設備が無ければ外部機関の設備を借りて実験を進める活動も。機密の問題については、いわゆるアジャイル開発で特許出願して守ればよい、という指導だった。U本部長からI本部長に代わり、当方一人で推進していた高純度SiCの住友金属工業とのJVは、厳しい扱いを受けた。電気粘性流体の仕事も手伝うことになったのだ。おそらく人生で最大の生産効率だったと思っている。この経験を活かし、転職後コンパウンド工場を立ち上げている。ホワイトカラーの生産効率については、知識労働者が主体的に行動しない限り、上がらない。そのために職務権限をどうするかは重要である。このあたりの考え方については弊社にご相談ください。
(注3)コンパウンド工場の立ち上げは、予算外の業務だった。上司のセンター長は権限上限の決済を決断し、当方は本来のグループ運営の業務を部下の課長2人に任せ、自ら現場で中古機の組み立てを手伝って成し遂げた生産効率である。役職者がその役職にしがみついていては、いつまでも生産性は上がらない。
カテゴリー : 一般
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